骨肉腫に対する術前治療の効果判定に有用な画像診断

「はじめに」近年, 悪性骨腫瘍に対する術前治療によって, 生命的予後の改善だけでなく, 患肢温存のための局所コントロールが可能になりつつある1)3)5)6). しかし, 術前治療の効果は症例によって差があり, 患肢温存手術の前にその程度を評価する必要がある. このため, 日本整形外科学会, 骨・軟部腫瘍委員会1)では, 悪性骨腫瘍の治療効果判定法を提示している. その評価項目として, 組織学的効果以外に局所の腫脹・疼痛・熱感などの臨床所見, 血清アルフォス値, 単純X線およびCTがあげられているが, それ以外にもMRI, 血管造影, 骨シンチなどの画像診断が効果判定に有用であることが報告されて...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 2; pp. 357 - 360
Main Authors 平野徹, 吉田伍一, 岩崎勝郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」近年, 悪性骨腫瘍に対する術前治療によって, 生命的予後の改善だけでなく, 患肢温存のための局所コントロールが可能になりつつある1)3)5)6). しかし, 術前治療の効果は症例によって差があり, 患肢温存手術の前にその程度を評価する必要がある. このため, 日本整形外科学会, 骨・軟部腫瘍委員会1)では, 悪性骨腫瘍の治療効果判定法を提示している. その評価項目として, 組織学的効果以外に局所の腫脹・疼痛・熱感などの臨床所見, 血清アルフォス値, 単純X線およびCTがあげられているが, それ以外にもMRI, 血管造影, 骨シンチなどの画像診断が効果判定に有用であることが報告されている2)4)6). 我々は, 対象を悪性骨腫瘍の代表的なものである骨肉腫に限定し, 前述の画像診断を組み合わせて総合的に評価することにより, 術前治療の組織学的効果を手術前に判定することが可能であるか否か検討した. 対象および方法 対象は, 大腿骨, 脛骨など長管骨に発生した骨肉腫20例で, 全例に術前治療と患肢温存手術を施行した.
ISSN:0037-1033