妊娠中の頭蓋内出血について

前置胎盤, 早期胎盤剥離, 弛緩出血などに伴う出産時の出血, および産褥熱, 妊娠中毒症などのいわゆる産科的合併症はここ数十年間に急速に改善され, 1940年には出生10万対280だった妊産婦の死亡率は1980年には出生10万対24と1/10以下に減少している. それに伴って, 非産科的合併症による妊産婦死亡の改善が現在重要な課題となっている23). 妊娠中の頭蓋内出血は, 1950~1973年におけるMinnesota州の統計によれば妊産婦死亡843例中72例(8.5%)を占め, 一般に信じられているよりかなり高頻度である. そのなかでもクモ膜下出血は全妊産婦死亡の4.4%, 非産科的合併症...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 25; no. 8; pp. 640 - 644
Main Authors 久保田基夫, 山浦晶, 西山裕孝, 牧野博安
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1985
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ISSN0470-8105

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Summary:前置胎盤, 早期胎盤剥離, 弛緩出血などに伴う出産時の出血, および産褥熱, 妊娠中毒症などのいわゆる産科的合併症はここ数十年間に急速に改善され, 1940年には出生10万対280だった妊産婦の死亡率は1980年には出生10万対24と1/10以下に減少している. それに伴って, 非産科的合併症による妊産婦死亡の改善が現在重要な課題となっている23). 妊娠中の頭蓋内出血は, 1950~1973年におけるMinnesota州の統計によれば妊産婦死亡843例中72例(8.5%)を占め, 一般に信じられているよりかなり高頻度である. そのなかでもクモ膜下出血は全妊産婦死亡の4.4%, 非産科的合併症による死亡の第3位と特に多く, 妊娠中毒症による頭蓋内出血がこれについでいる2). 我々は, ここ数年間に8例の妊娠中の頭蓋内出血を経験したので, ここに報告するとともに文献的考察を加えてみたい. 症例 我々の経験した8例の概要をTable 1に示す.
ISSN:0470-8105