前庭型メニエール病に対するプロスタグランディンI2誘導体の治療効果

「はじめに」厚生省研究班のメニエール病診断基準によると, メニエール病確実例は難聴, 耳鳴を伴うめまい発作を反復する原因不明の内耳疾患として診断される1). また, 回転性めまい発作を繰り返すものの蝸牛症状を欠くメニエール病疑い例は, 前庭型メニエール病とも呼ばれている. このように, 厚生省研究班の診断基準は症候的診断基準である. 一方で, メニエール病の病理病態は内リンパ水腫であることが証明されており2)3), メニエール病は特発性内リンパ水腫の臨床診断名とする考えが一般的である. したがって, その亜型である前庭型メニエール病は前庭系に限局した内リンパ水腫として診断されるべきである. し...

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Published inめまい平衡医学 Vol. 65; no. 2; pp. 116 - 121
Main Authors 北原糺, 武田憲昭, 肥塚泉, 荻野仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本めまい平衡医学会 01.04.2006
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ISSN0385-5716

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Summary:「はじめに」厚生省研究班のメニエール病診断基準によると, メニエール病確実例は難聴, 耳鳴を伴うめまい発作を反復する原因不明の内耳疾患として診断される1). また, 回転性めまい発作を繰り返すものの蝸牛症状を欠くメニエール病疑い例は, 前庭型メニエール病とも呼ばれている. このように, 厚生省研究班の診断基準は症候的診断基準である. 一方で, メニエール病の病理病態は内リンパ水腫であることが証明されており2)3), メニエール病は特発性内リンパ水腫の臨床診断名とする考えが一般的である. したがって, その亜型である前庭型メニエール病は前庭系に限局した内リンパ水腫として診断されるべきである. しかしながら, 現在のところ内リンパ水腫を確実に検出できる診断法はない. そのため, 症候的に診断された前庭型メニエール病には, 症状の類似した非内リンパ水腫疾患の含まれる可能性がある(図1). 例えば, 片頭痛と関連したbenign recurrent vertigoによるめまいや前下小脳動脈の第8脳神経圧迫によるneurovascular compressionによるめまいは, それぞれ頭痛や蝸牛症状の程度によっては確定診断の困難な場合がある.
ISSN:0385-5716