咽喉頭異常感症の心身医学的側面
「はじめに」近年情報化社会となり, ストレスとなる環境的変化が指摘され, 一方では精神身体的アプローチの進歩により情動そのものが咽喉頭異常感症の発症に重要な役割を果たすことが知られるようになった. しかし, 日常の診療において情動ストレスが咽喉頭異常感症の発生に重要な因子であると考えられる症例が少なくないとしても, それがすべての咽喉頭異常感症発症に第一義的な意義を有するものと即断してはならない. 器質的心理的異常の明らかでないような咽喉頭異常感症も少なからずある点から, 咽喉頭異常感症発生にかかわる精神的要因も多元性因子中の一因子にすぎないのかも知れない. このような立場から, 今回著者は咽...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 90; no. 6; pp. 887 - 896 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科学会
20.06.1987
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ISSN | 0030-6622 |
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Summary: | 「はじめに」近年情報化社会となり, ストレスとなる環境的変化が指摘され, 一方では精神身体的アプローチの進歩により情動そのものが咽喉頭異常感症の発症に重要な役割を果たすことが知られるようになった. しかし, 日常の診療において情動ストレスが咽喉頭異常感症の発生に重要な因子であると考えられる症例が少なくないとしても, それがすべての咽喉頭異常感症発症に第一義的な意義を有するものと即断してはならない. 器質的心理的異常の明らかでないような咽喉頭異常感症も少なからずある点から, 咽喉頭異常感症発生にかかわる精神的要因も多元性因子中の一因子にすぎないのかも知れない. このような立場から, 今回著者は咽喉頭異常感症における心身医学的アプローチの不可欠な心理面の異常を検討し, 咽喉頭異常感症の発症と診断の問題について, 心身医学的な面から検討を加えた. 「対象」咽喉頭異常感症を主訴とし聖路加国際病院耳鼻咽喉科を昭和59年7月より昭和60年12月までの18ヵ月間に受診し, 著者自身が直接患者の診療にたずさわった咽喉頭異常感症の患者122名を対象とした. |
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ISSN: | 0030-6622 |