手根骨骨内ガングリオンの2例
「はじめに」手に発生する腫瘍性疾患の中でガングリオンは33~69%12)と最も多く, 日常よく遭遇する疾患である. しかし, 骨内ガングリオンの頻度は少なくUriburuら14)によると手に発生するガングリオンの2.1%, 腫瘍性疾患の0.9%にすぎない. 私たちは月状骨および舟状骨骨内ガングリオンの各1例を経験したので報告する. 症例 【症例1】40歳, 女性, キャディー 主訴:右手関節痛 現病歴:半年前より誘因なく運転時の右手関節痛が出現した. 1カ月前に転倒し右手をついた後より疼痛が増強し他院を受診, X線像上キーンベック病を疑われ当科を紹介された. 初診時現症:右月状骨背側に圧痛を認...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 1; pp. 220 - 223 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2000
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ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 「はじめに」手に発生する腫瘍性疾患の中でガングリオンは33~69%12)と最も多く, 日常よく遭遇する疾患である. しかし, 骨内ガングリオンの頻度は少なくUriburuら14)によると手に発生するガングリオンの2.1%, 腫瘍性疾患の0.9%にすぎない. 私たちは月状骨および舟状骨骨内ガングリオンの各1例を経験したので報告する. 症例 【症例1】40歳, 女性, キャディー 主訴:右手関節痛 現病歴:半年前より誘因なく運転時の右手関節痛が出現した. 1カ月前に転倒し右手をついた後より疼痛が増強し他院を受診, X線像上キーンベック病を疑われ当科を紹介された. 初診時現症:右月状骨背側に圧痛を認め, 手関節可動域は背屈75°掌屈45°と掌屈制限を認め, 掌屈強制にて疼痛を誘発した. 握力は右11kg(左30kg)と低下していた. 画像所見:X線像では月状骨に境界明瞭な嚢腫様透明巣を認め, 辺縁骨硬化を伴っていた(図1-a). 断層X線像およびCT像では月状骨背側の骨皮質欠損を伴う透明巣と掌側の多房性透明巣を認めた. MRIではT1強調像で低信号, T2強調像で嚢腫と掌側に向かう茎が高信号を呈し(図1-b), ガドリニウムで茎が強く造影されたことからガングリオンと診断した. |
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ISSN: | 0037-1033 |