成人高位股関節脱臼に対するTHA

「はじめに」高位脱臼性股関節症の治療法として, 当科では人工股関節置換術(以下THA)を試みている. この際, 特に片側例ではかなりの脚長差を認めることが多いため, 脚延長を行う必要があるが, その弊害として神経の牽引による障害が問題となる1-3)5)6). しかしながら, 安全な脚延長量に関する明確な基準は今のところない. 今回, 高位脱臼性股関節症にTHAを施行した症例で, 脚延長と神経障害との関連について検討したので報告する. 対象と方法 木下らの分類4)に従い, 骨頭が明らかに腸骨壁との間に新臼蓋を形成しているII型, および骨頭が殿筋内に遊離しているIII型を対象とした. 当科で治療...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 2; pp. 373 - 375
Main Authors 前田智, 井手淳二, 山鹿眞紀夫, 高木克公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2000
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」高位脱臼性股関節症の治療法として, 当科では人工股関節置換術(以下THA)を試みている. この際, 特に片側例ではかなりの脚長差を認めることが多いため, 脚延長を行う必要があるが, その弊害として神経の牽引による障害が問題となる1-3)5)6). しかしながら, 安全な脚延長量に関する明確な基準は今のところない. 今回, 高位脱臼性股関節症にTHAを施行した症例で, 脚延長と神経障害との関連について検討したので報告する. 対象と方法 木下らの分類4)に従い, 骨頭が明らかに腸骨壁との間に新臼蓋を形成しているII型, および骨頭が殿筋内に遊離しているIII型を対象とした. 当科で治療した5例6股は, 全例女性であり, 平均年齢は55.0歳(37歳~68歳)であった. III型の4股中2股はSchanz手術を施行されており, 1股は腸骨翼に対して骨頭による圧痕を形成していた. 臼蓋カップの設置は原臼位4股, 高位2股であった. 術前, 術後の単純レ線から, 下肢延長量の大腿骨長に対する延長率(%)を算出し, 術後の臨床的神経症状の有無との関連について調査した.
ISSN:0037-1033