IgD型骨髄腫4例の臨床的特徴

1993年7月までの過去約20年間に, 当科で経験したIgD型骨髄腫は4例で, 全骨髄腫の約3.4%であった. これら4例を解析すると, IgD型骨髄腫の特徴のうち, 全骨髄腫における発生頻度, 軽鎖の頻度(全例λ鎖), 血清総蛋白値(全例正常範囲内)については過去の報告と同様の傾向が認められた. しかしM蛋白量と血清IgD値は既報告より高値を示し, また, 予後に関しては個体差が大きいという結果が得られた. 「はじめに」IgD型骨髄腫は1965年RoweとFaheyにより初めて報告された1). 本邦においても1967年に正木らの第1例報告2)以来, 徐々にその報告が蓄はじめに積されつつある....

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Published in川崎医学会誌 Vol. 19; no. 4; pp. 399 - 405
Main Authors 岡本直人, 山田治, 井上孝文, 高橋美加, 阿多雄之, 和田秀穂, 杉原尚, 神崎暁郎, 八幡義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1993
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ISSN0386-5924

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Summary:1993年7月までの過去約20年間に, 当科で経験したIgD型骨髄腫は4例で, 全骨髄腫の約3.4%であった. これら4例を解析すると, IgD型骨髄腫の特徴のうち, 全骨髄腫における発生頻度, 軽鎖の頻度(全例λ鎖), 血清総蛋白値(全例正常範囲内)については過去の報告と同様の傾向が認められた. しかしM蛋白量と血清IgD値は既報告より高値を示し, また, 予後に関しては個体差が大きいという結果が得られた. 「はじめに」IgD型骨髄腫は1965年RoweとFaheyにより初めて報告された1). 本邦においても1967年に正木らの第1例報告2)以来, 徐々にその報告が蓄はじめに積されつつある. 骨髄腫におけるIgD型の頻度は約3~5%と少なく, 髄外腫瘤を形成しやすいことや腎機能障害が高率に合併するなどの特徴が報告されている3)~6). 我々は本学附属病院開院以来1993年7月までの約20年間に4例のIgD型骨髄腫を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例 症例1:53歳, 男性 主訴:胸痛 家族歴:心筋梗塞(父), 高血圧(母) 既往歴:胃十二指腸潰瘍(1979年) 現病歴:1982年2月より時々胸痛があり, 5月に左肋骨骨折を指摘される. 7月に精査目的で近医へ入院し, 赤沈亢進と高Ca血症を認め, 8月19日本院に転院した.
ISSN:0386-5924