水溶性ピトレッシンとベッド体重計使用による術後急性期尿崩症の管理

脳神経外科領域の手術後に出現する尿崩症は, 術後管理の中でもっとも煩雑で困難なものの1つである. 特に術後急性期(1週間以内)には尿量の変動が著しいので5), 生理的な水分および電解質平衡を保つためには, 著しい水分出納の変動に即座に対応する必要がある. この時期に1日10リットル以上の多尿が数日続くと, 生理的な水分や電解質の平衡を維持することが煩雑となる. そこで我々は, この時期に1日尿量を安全にしかも平易に減少させるために, 水溶性ピトレッシン(AP)の微量持続点滴とベッド体重計を併用した. この方法は, 刻々変化する生体の水分出納に対し, 即座に対応することができる点で優れた方法と考...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. 11; pp. 943 - 948
Main Authors 久保田紀彦, 宇野英一, 伊藤治英, 吉田一彦, 山本信二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
Online AccessGet full text
ISSN0470-8105

Cover

More Information
Summary:脳神経外科領域の手術後に出現する尿崩症は, 術後管理の中でもっとも煩雑で困難なものの1つである. 特に術後急性期(1週間以内)には尿量の変動が著しいので5), 生理的な水分および電解質平衡を保つためには, 著しい水分出納の変動に即座に対応する必要がある. この時期に1日10リットル以上の多尿が数日続くと, 生理的な水分や電解質の平衡を維持することが煩雑となる. そこで我々は, この時期に1日尿量を安全にしかも平易に減少させるために, 水溶性ピトレッシン(AP)の微量持続点滴とベッド体重計を併用した. この方法は, 刻々変化する生体の水分出納に対し, 即座に対応することができる点で優れた方法と考えられるので, 我々の経験を報告する. 対象および方法 1.対象症例 トルコ鞍およびその近傍腫瘍の術後尿崩症患者14例を対象とした. 疾患の内訳は, functioning pituitary adenomaで腫瘍がトルコ鞍内に限局しているもの8例, pituitary macroadenoma4例, dermoid cyst 1例, 頭蓋咽頭腫1例である.
ISSN:0470-8105