斜視に伴うDVDの意義について
「1. はじめに」DVD(Dissociated Vertical Deviation or Divergence, 交代性上斜位)は乳児内斜視をはじめとする早期発症の斜視に潜伏眼振と共に高率に合併することが知られている. また, 最近の病態に関する仮説としてDorsal Light Reflexの関与が想定されている. すなわち, 魚のような側方に眼のある動物が有する系統発生的に古い機能であるdorsal light reflex(光の方向への頭部傾斜, あるいは眼球の上下開散)は通常ヒトでは両眼視を獲得したため抑制されているが, 視覚発達の臨界期に正常な視覚皮質の発達に障害を受けるとこの異...
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Published in | 日本視能訓練士協会誌 Vol. 37; pp. 19 - 36 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本視能訓練士協会
2008
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ISSN | 0387-5172 |
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Summary: | 「1. はじめに」DVD(Dissociated Vertical Deviation or Divergence, 交代性上斜位)は乳児内斜視をはじめとする早期発症の斜視に潜伏眼振と共に高率に合併することが知られている. また, 最近の病態に関する仮説としてDorsal Light Reflexの関与が想定されている. すなわち, 魚のような側方に眼のある動物が有する系統発生的に古い機能であるdorsal light reflex(光の方向への頭部傾斜, あるいは眼球の上下開散)は通常ヒトでは両眼視を獲得したため抑制されているが, 視覚発達の臨界期に正常な視覚皮質の発達に障害を受けるとこの異常な上下開散(dissociated vertical divergence)が生じ, これがDVDの原因であるとする説である1)~4). このことから斜視の発症に引き続く病態の形成にDVDが深く関わっていることが推定され, 実際に斜視の臨床においてもDVDが関与することによって生じると思われる様々な病態が観察され, 診断や治療の上で多くの問題を引き起こしている. |
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ISSN: | 0387-5172 |