脊髄症状を呈した頚椎血管腫の1例

「はじめに」脊椎血管腫はしばしば認められるが, 頚椎に発生する例は少なく, さらに脊髄症状を呈する症例はごくまれである. 今回, 脊髄症状を呈した頚椎血管腫の1例を経験したので報告する. 「症例」74歳女牲. 平成9年頃から誘因なく歩行障害出現し, 平成12年2月, 突然起立不可となり, 徐々に症状増悪するため, 当科紹介, 平成12年5月15日緊急入院となった. 入院時所見は座位不可でTh10以下の筋力低下を認め, 両下肢の腱反射亢進し, クローヌスも陽性であった. また, 両下肢の知覚鈍麻, 膀脱直腸障害, 下位頸椎の叩打痛も認められた. 単純XPにおいて, 格子状陰影などは認めなかった....

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 3; pp. 700 - 702
Main Authors 金澤知之進, 吉松弘喜, 佐藤公昭, 安藤則行, 後藤博史, 永田見生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2001
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Summary:「はじめに」脊椎血管腫はしばしば認められるが, 頚椎に発生する例は少なく, さらに脊髄症状を呈する症例はごくまれである. 今回, 脊髄症状を呈した頚椎血管腫の1例を経験したので報告する. 「症例」74歳女牲. 平成9年頃から誘因なく歩行障害出現し, 平成12年2月, 突然起立不可となり, 徐々に症状増悪するため, 当科紹介, 平成12年5月15日緊急入院となった. 入院時所見は座位不可でTh10以下の筋力低下を認め, 両下肢の腱反射亢進し, クローヌスも陽性であった. また, 両下肢の知覚鈍麻, 膀脱直腸障害, 下位頸椎の叩打痛も認められた. 単純XPにおいて, 格子状陰影などは認めなかった. 脊髄造影において, C7/Th1に造影剤の通過障害を認めた. 単純CTにおいて, C4の一部と, C7全域に班点状陰影(図1)を認めた. 一方, CTMではC7においてのみ前方及び後方からの脊髄の圧迫を認めた. MRIでは, C7椎体, 椎弓がT1強調画像で等~高信号, T2強調画像で高信号(図2)を示し, 脊髄を著明に圧迫していた.
ISSN:0037-1033