脳血管の緊張維持に関与する脳幹の役割

頭部外傷, 脳内出血, クモ膜下出血において, その予後を左右するもっとも大きな要因は, 出血あるいは直接の脳損傷よりはむしろ二次的頭蓋内圧亢進の程度である. 頭蓋内圧亢進には, 一定の頭蓋内容積に対して場所占拠性物質, 髄液の過剰な貯留, および脳容積増大が関与する, このうち二次的頭蓋内圧亢進にもっとも重要な役割を果す急性脳腫脹では, 脳血管床の拡大が本質的な因子となっている9-11, 24). 臨床例における急性頭蓋内圧亢進状態では, その初期あるいは中期の段階で頭蓋内圧変動に圧波の現象がみられるが, 末期においてはもはや圧波の出現をみず, 頭蓋内圧はmonotonousで血圧依存性変動...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 25; no. 5; pp. 327 - 332
Main Authors 半田裕二, 林実, 山本信二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1985
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ISSN0470-8105

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Summary:頭部外傷, 脳内出血, クモ膜下出血において, その予後を左右するもっとも大きな要因は, 出血あるいは直接の脳損傷よりはむしろ二次的頭蓋内圧亢進の程度である. 頭蓋内圧亢進には, 一定の頭蓋内容積に対して場所占拠性物質, 髄液の過剰な貯留, および脳容積増大が関与する, このうち二次的頭蓋内圧亢進にもっとも重要な役割を果す急性脳腫脹では, 脳血管床の拡大が本質的な因子となっている9-11, 24). 臨床例における急性頭蓋内圧亢進状態では, その初期あるいは中期の段階で頭蓋内圧変動に圧波の現象がみられるが, 末期においてはもはや圧波の出現をみず, 頭蓋内圧はmonotonousで血圧依存性変動を示し, 脳血管運動麻痺の状態を呈する6). 一方, 実験的急性頭蓋内圧亢進状態において, 視床下部および脳幹の刺激と破壊は頭蓋内圧変動に著しい影響を与え16), 視床下部後部の破壊は急性脳腫脹を生じさすこともある9).
ISSN:0470-8105