実験腎障害モデルにおけるテネイシンの発現

テネイシンは, 癌器官形成創傷治癒に関係する細胞外基質として知られ, 組織内における炎症などの変化に反応して発現することが知られている. 我々は, 腎障害モデルラットを作成し, 糸球体および間質でのテネイシンの発現場所, 時期に注日して検討をおこなった. その結果, テネイシンは直接障害された場所に発現するとともに, 場合によって直接障害された場所とやや離れて発現し, 可逆的モデルでは回復とともに消失し, 不可逆的な糸球体障害モデルでは糸球体とボウマン嚢との癒着病変に持続的な発現が観察された. テネイシンの発現は障害の範囲を示すとともに, 一過性の発現は障害の修復に, 癒着病変での持続的な発現...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 22; no. 3; pp. 197 - 202
Main Authors 徐義之, 佐々木環, 丹田信也, 加藤博孝, 八田秀一, 斎木豊徳, 大澤源吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1996
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ISSN0386-5924

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Summary:テネイシンは, 癌器官形成創傷治癒に関係する細胞外基質として知られ, 組織内における炎症などの変化に反応して発現することが知られている. 我々は, 腎障害モデルラットを作成し, 糸球体および間質でのテネイシンの発現場所, 時期に注日して検討をおこなった. その結果, テネイシンは直接障害された場所に発現するとともに, 場合によって直接障害された場所とやや離れて発現し, 可逆的モデルでは回復とともに消失し, 不可逆的な糸球体障害モデルでは糸球体とボウマン嚢との癒着病変に持続的な発現が観察された. テネイシンの発現は障害の範囲を示すとともに, 一過性の発現は障害の修復に, 癒着病変での持続的な発現はover healingとして不可逆的な病変の形成に関与することが示唆された. (平成8年10月23日採用)
ISSN:0386-5924