Saline-Adenine-Glucose-Mannitol保存液・OPTISOL(R)による42日, 49日間赤血球保存における赤血球の機能, 形態学的変化および赤血球寿命と保存液の有用性について

近年, 血液製剤の需要の増加により, 現在我が国で行われている, acid-citrate-dextrose液(ACD)やcitrate-phosphate-dextrose液(CPD)を使用した, 最高21日保存システムでは期限切れとなって有効利用ができない例も少なくなく, 新しい長期保存液の開発が望まれていた. ところが欧米諸国では, 濃厚赤血球専用の保存液を用いて最高42日間の保存を現在行っている. 赤血球の長期保存は, 1978年にHogmanら1)2), 1980年にHerveら3)により, saline-adenine-glucose液(SAG)で35日間の長期保存が可能である事が...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 795 - 802
Main Authors 中島尚登, 星順隆, 浅井治, 山本純子, 竹内直子, 神谷昌弓, 加藤敦子, 長谷川智子, 山崎恵美, 中山一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1991
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ISSN0546-1448

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Summary:近年, 血液製剤の需要の増加により, 現在我が国で行われている, acid-citrate-dextrose液(ACD)やcitrate-phosphate-dextrose液(CPD)を使用した, 最高21日保存システムでは期限切れとなって有効利用ができない例も少なくなく, 新しい長期保存液の開発が望まれていた. ところが欧米諸国では, 濃厚赤血球専用の保存液を用いて最高42日間の保存を現在行っている. 赤血球の長期保存は, 1978年にHogmanら1)2), 1980年にHerveら3)により, saline-adenine-glucose液(SAG)で35日間の長期保存が可能である事が報告され, その後1981年に, Hogmanら4)によりSAGに赤血球膜安定の作用のあるmannitolを加えた保存液(SAGM)により溶血をさらに減少させる事が可能であると報告された. さらに1984年には, 長期保存液として, CPDにadenineを加えた35日保存可能なCPDA-1とCPDA-2がMoroffら5)により報告された. その後米国において, 42日の長期保存が可能な2種類の赤血球保存液, AS-1(ADSOL(R), Fenwal Lab.)と, AS-3(Nutricel(R), Cutter Biological)6)7)が認可された. 欧州においては, Hogman処方の, Europian-SAGM8)が35日保存用として使用されているが, 1988年には, Europian-SAGMの成分は変えず, adenineの量のみを変更し, 保存期間を42日に延長した, American-SAGM(OPTISOL(R), Terumo Corporation)9)が開発され, 米国で使用が認可された. 今回我々は, このOPTISOL(R) (OP)を用いて健常男子成人の濃厚赤血球液を35日, 42日, 49日保存し, 保存中の赤血球の種々の変化について検討を加え, この長期保存液の有用性と, 臨床上の応用について考察を加えたので報告する.
ISSN:0546-1448