後頭蓋窩嚢腫の病態と手術適応

頭蓋内非腫瘍性嚢腫は, computed tomography(CT)導入以後日常診療でしばしば遭遇する神経疾患となった. 非腫瘍性嚢腫のうち, 中頭蓋窩クモ膜嚢腫はその発生頻度が高く, また多くの研究者によりその病態の解析が行われた結果, これら嚢腫は疑いもなく脳神経外科疾患であることが広く認識されるに至り, その外科的治療法もほほ確立されたように思われる3, 9, 14). 一方, 後頭蓋窩の非腫瘍性嚢腫は, 天幕上のそれと比較して発生頻度も少なく, またその病態が多様であることより, 個々の疾患に関する詳細な知見, 鑑別診断, また外科的治療の適応と方法がいまだ十分に理解されていないよう...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 28; no. 3; pp. 278 - 287
Main Authors 新井一, 佐藤潔, 宇藤章, 谷口克己, 石沢敦, 石井昌三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1988
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Summary:頭蓋内非腫瘍性嚢腫は, computed tomography(CT)導入以後日常診療でしばしば遭遇する神経疾患となった. 非腫瘍性嚢腫のうち, 中頭蓋窩クモ膜嚢腫はその発生頻度が高く, また多くの研究者によりその病態の解析が行われた結果, これら嚢腫は疑いもなく脳神経外科疾患であることが広く認識されるに至り, その外科的治療法もほほ確立されたように思われる3, 9, 14). 一方, 後頭蓋窩の非腫瘍性嚢腫は, 天幕上のそれと比較して発生頻度も少なく, またその病態が多様であることより, 個々の疾患に関する詳細な知見, 鑑別診断, また外科的治療の適応と方法がいまだ十分に理解されていないように思われる. 本稿では, 最近我々が自験した19例の後頭蓋窩非腫瘍性嚢腫における臨床像, 神経放射線学的知見, 病態の鑑別診断, 外科的治療の適応と方法について, retrospectiveに検討し若干の知見を得たので報告する.
ISSN:0470-8105