絨毛上皮腫の血管内転移により発生した破裂脳動脈瘤の1例

絨毛上皮腫はその約30 %に脳転移を生じ, 黒色腫と並び高い脳転移率を示す腫瘍である2, 22). また, 他の転移性脳腫瘍の初発臨床と比較すると, 絨毛上皮腫の脳転移例では頭蓋内出血にて発症する頻度が高いとされている1, 2, 6, 14, 22).頭蓋内出血の原因として腫瘍内出血のほかに腫瘍性脳動脈瘤の破裂が報告されているが, その数は現在までに10例ときわめて少ない12-14, 16-18, 20, 21, 23). 今回我々は脳内出血にて発症し, 脳血管撮影にて中大脳動脈末梢部に脳動脈瘤を認め, 手術時摘出された動脈瘤内血栓様物質の病理組織学的検査にて原疾患である絨毛上皮腫を診断しえた...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 30; no. 11; pp. 858 - 862
Main Authors 森健太郎, 三科秀人, 下地武義, 前田稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1990
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ISSN0470-8105

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Summary:絨毛上皮腫はその約30 %に脳転移を生じ, 黒色腫と並び高い脳転移率を示す腫瘍である2, 22). また, 他の転移性脳腫瘍の初発臨床と比較すると, 絨毛上皮腫の脳転移例では頭蓋内出血にて発症する頻度が高いとされている1, 2, 6, 14, 22).頭蓋内出血の原因として腫瘍内出血のほかに腫瘍性脳動脈瘤の破裂が報告されているが, その数は現在までに10例ときわめて少ない12-14, 16-18, 20, 21, 23). 今回我々は脳内出血にて発症し, 脳血管撮影にて中大脳動脈末梢部に脳動脈瘤を認め, 手術時摘出された動脈瘤内血栓様物質の病理組織学的検査にて原疾患である絨毛上皮腫を診断しえた症例を経験したので, ここに文献的考察を加え, 報告する. 症例 <患者>55才, 女性 主訴:意識障害, 右片麻痺 家族歴・既往歴:3年前より慢性関節リウマチおよび肺線維症. なお, 患者には3回の正常妊娠および正常分娩とその後3回の人工妊娠中絶を受けた既往があり, 最後の妊娠は22年前であった.
ISSN:0470-8105