Trypanosoma gambienseの37Cにおける短期間培養マウスL-細胞を共存させての試み
マウスにより長期にわたり継代維持されてきたTrypanosoma gambiense (T.g.), Wellcome株をin vitro 37CでマウスL-細胞と共存させて培養することを試みた。この培養系においてT.g.はlag phaseに増殖し始め, 24時間でT.g.数は3倍になり, 以後減少していった。T.g.数が2倍になるまで12-14時間を要したので, この系での世代時間は, 感染マウス内での場合 (約5時間) にくらべ非常に長くなっている。培養されたT.g.の観察結果からT.g.の分裂過程において形態上キネトプ.ラスト, 鞭毛および核は倍化しているにもかかわらず, それに続いて...
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Published in | Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene Vol. 7; no. 3-4; pp. 161 - 169 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本熱帯医学会
15.12.1979
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ISSN | 0304-2146 2186-1811 |
DOI | 10.2149/tmh1973.7.161 |
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Summary: | マウスにより長期にわたり継代維持されてきたTrypanosoma gambiense (T.g.), Wellcome株をin vitro 37CでマウスL-細胞と共存させて培養することを試みた。この培養系においてT.g.はlag phaseに増殖し始め, 24時間でT.g.数は3倍になり, 以後減少していった。T.g.数が2倍になるまで12-14時間を要したので, この系での世代時間は, 感染マウス内での場合 (約5時間) にくらべ非常に長くなっている。培養されたT.g.の観察結果からT.g.の分裂過程において形態上キネトプ.ラスト, 鞭毛および核は倍化しているにもかかわらず, それに続いて起こるべき虫体の縦裂そして2原虫への分離の段階において時間を要していることがわかった。つまりこの分裂が部分的に抑制されているたあに増殖が遅くなったと考えられる。対照としてL-細胞の共存で, 培養されたT.g.では, やはりキネトプラスト, 鞭毛および核の倍化は起こっているにもかかわらず, 増殖が認め6られなかつたのでこの場合にはより高度にT.g.の分裂が抑制されていると考えられる。 従って具体的な要因は不明であるがL-細胞の存在はT.g.の生存, 増殖に有用であるといえる。この系で培養されたT.g.は少なくともT.g.数が減少し始あるまでの間, 培養開始と同じ程度にマウスに対する感染能を保持していた。しかしながらこの系においてT.g.を継代することはできなかった。以上のことから, 本培養系ではT.g.を培養維持することはできないが, 原虫数が減少し始めるまでの時間, つまり24時間以内に限定すれば, 本原虫を用いた他の実験にこの培養法を応用するこことができると考えられる。 |
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ISSN: | 0304-2146 2186-1811 |
DOI: | 10.2149/tmh1973.7.161 |