3.抗リン脂質抗体
「はじめに」 抗リン脂質抗体(aPLA)は血栓症との関連が注目され, 検査項目としてはループスアンチコアグラント(LA), 抗カルジオリピン抗体(aCL), β2-glycoprotein I(β2-GPI)依存性抗カルジオリピン抗体などが知られている. 本シンポジウムではaPLAが脳梗塞の独立した危険因子となるかどうか, 次に各種aPLAと脳梗塞の再発, 予後との関係について検討し, さらに血栓発症の機序を解明する目的で, 抗カルジオリピン抗体がprotein C活性化に障害を及ぼすか否かについて検討した. 「1. 抗リン脂質抗体の測定」 抗リン脂質抗体のうち, 臨床的に重要とされているのは...
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Published in | 脳卒中 Vol. 21; no. 4; pp. 446 - 451 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
25.12.1999
日本脳卒中学会 |
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ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.21.4_446 |
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Summary: | 「はじめに」 抗リン脂質抗体(aPLA)は血栓症との関連が注目され, 検査項目としてはループスアンチコアグラント(LA), 抗カルジオリピン抗体(aCL), β2-glycoprotein I(β2-GPI)依存性抗カルジオリピン抗体などが知られている. 本シンポジウムではaPLAが脳梗塞の独立した危険因子となるかどうか, 次に各種aPLAと脳梗塞の再発, 予後との関係について検討し, さらに血栓発症の機序を解明する目的で, 抗カルジオリピン抗体がprotein C活性化に障害を及ぼすか否かについて検討した. 「1. 抗リン脂質抗体の測定」 抗リン脂質抗体のうち, 臨床的に重要とされているのはlupus anticoagulant(LA)1)と抗カルジオリピン抗体(aCL)2)-4)である. LAの存在はスクリーニングテストとしてA-PTTを測定し, APTTが延長している場合, 患者血漿と正常血漿を等量混合する血漿混合試験(cross mixing study)を行い, A-PTTの延長が正常化されない場合には, リン脂質依存性であることを確認してLA陽性とした. aCLはELISA法を, β2-GPI依存性aCLはYAMASA kitを用いて測定した. 「2. 抗リン脂質抗体は脳梗塞の危険因子となるか」 対象はSLEを基礎疾患としない脳梗塞273例とSLEを基礎疾患とする脳梗塞12例, 合計285例で, それぞれの群での抗リン脂質抗体の陽性率および脳血管障害の危険因子の出現率を検討した. その結果, SLEを基礎疾患としない脳梗塞273例のうちaPLA陽性例は24例, 8.8%, SLEを基礎疾患とする脳梗塞12例中aPLA陽性例は8例, 67%であった. SLEを基礎疾患としないaPLA陽性脳梗塞24例のうち高血圧, 糖尿病などの危険因子のない例は38%で, aPLA陰性例での15%に比べ有意に高く, aPLAは脳梗塞の独立した危険因子と考えられた(表1). 米国抗リン脂質抗体共同研究グループであるAPASS 5)はaCL陽性者は陰性者に比べて2.31倍の危険率で脳梗塞をおこしやすく, 本抗体は脳梗塞の独立したリスクファクターであると報告している. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.21.4_446 |