豊胸術後に発生した炎症性乳癌の1例 : 症例報告と本邦報告例の検討
症例は44歳, 女性で, 昭和43年 (19歳時) に両側豊胸術 (シリコン系物質注入) を受けた.平成5年6月頃より左乳房の腫張, 発赤, 硬結を認め, 炎症性乳癌 (T4bN3M0, Stage IIIb) の診断で, 術前CAF療法と照射を施行し, 拡大手術を行った.病理組織診断は硬癌でリンパ管侵襲が著明で, 広範なリンパ節転移がみられた.術後, 右腋窩リンパ節の穿刺吸引細胞診で癌の転移を認め, 右乳腺部分切除, 腋窩郭清, シリコノーマ切除術を施行した.右乳癌の転移性両側乳癌と診断された.しかし局所皮膚転移が出現し, 照射, 化学療法, 内分泌療法を施行したが, 全身転移により治療後1...
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Published in | 北関東医学 Vol. 45; no. 1; pp. 121 - 128 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
北関東医学会
01.01.1995
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0023-1908 1883-6135 |
DOI | 10.2974/kmj1951.45.121 |
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Summary: | 症例は44歳, 女性で, 昭和43年 (19歳時) に両側豊胸術 (シリコン系物質注入) を受けた.平成5年6月頃より左乳房の腫張, 発赤, 硬結を認め, 炎症性乳癌 (T4bN3M0, Stage IIIb) の診断で, 術前CAF療法と照射を施行し, 拡大手術を行った.病理組織診断は硬癌でリンパ管侵襲が著明で, 広範なリンパ節転移がみられた.術後, 右腋窩リンパ節の穿刺吸引細胞診で癌の転移を認め, 右乳腺部分切除, 腋窩郭清, シリコノーマ切除術を施行した.右乳癌の転移性両側乳癌と診断された.しかし局所皮膚転移が出現し, 照射, 化学療法, 内分泌療法を施行したが, 全身転移により治療後1年で腫瘍死した.豊胸術後の乳癌は, 自験例を含め48例の本邦報告例があるが, 診断が困難で進行例が多い.予後改善には早期発見, 早期治療が重要である. |
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ISSN: | 0023-1908 1883-6135 |
DOI: | 10.2974/kmj1951.45.121 |