ユニットパルス法を用いた歯の動揺度の動的測定に関する研究 (第二報) 歯周炎罹患歯および実験的咬合性外傷歯における検討

歯の動揺度を客観的により簡便に評価する測定システムを確立する目的で, 従来からのユニットパルス法を用いた測定装置に改良を加えた動揺度測定システムを試作した。第一報において, 本システムを用いて模型と正常歯周組織を有する上顎中切歯の共振周波数を測定した結果, 本測定システムは歯の動揺度の客観的な測定法として臨床応用できる可能性が高いことが示された。そこで本研究はさらに本方法の有用性を確認するために, 歯周炎罹患歯および外傷力として揺さぶり力を加えた歯の共振周波数を測定した。 実験1として, 31~76歳 (平均52.9歳) の9名の歯周炎に罹患した上顎中切歯15歯を被験歯とし, 本測定システムで...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 38; no. 4; pp. 510 - 521
Main Authors 加藤, 義弘, 加藤, ヒロシ, 小鷲, 悠典, 横田, 光弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 28.12.1996
日本歯周病学会
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.38.510

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Summary:歯の動揺度を客観的により簡便に評価する測定システムを確立する目的で, 従来からのユニットパルス法を用いた測定装置に改良を加えた動揺度測定システムを試作した。第一報において, 本システムを用いて模型と正常歯周組織を有する上顎中切歯の共振周波数を測定した結果, 本測定システムは歯の動揺度の客観的な測定法として臨床応用できる可能性が高いことが示された。そこで本研究はさらに本方法の有用性を確認するために, 歯周炎罹患歯および外傷力として揺さぶり力を加えた歯の共振周波数を測定した。 実験1として, 31~76歳 (平均52.9歳) の9名の歯周炎に罹患した上顎中切歯15歯を被験歯とし, 本測定システムで得られた共振周波数と歯周組織の臨床診査との関係を検討した。その結果, 共振周波数F1は歯槽骨の吸収, 歯根膜腔の拡大と高い相関が認められた。実験2として, 25~35歳 (平均29.8歳) の男性6名の正常歯周組織を有する上顎中切歯7歯を被験歯とし, 外傷力を想定した唇舌方向の揺さぶり力を加え, 共振周波数の変化を測定した。その結果, 共振周波数F2は揺さぶり力を付加することで低域に移行した。以上より本測定法は歯周炎の診査に有用であり, 外力による歯周組織の変化を評価することができる可能性が示唆された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.38.510