近赤外分光装置 (NIRO300(R)) による脳内血流分析システムの開発

目的: 咀嚼運動や他の身体運動がそれぞれ脳内血流に及ぼす影響を明らかにする目的で, 近赤外分光装置 (NIRO300) による脳内血流分析システムを開発した。 方法: 健常男性3名 (26歳, 32歳, 36歳) に咀嚼運動, 指タッピング運動, 動的掌握運動をそれぞれ30秒間行わせた時の咬筋筋活動をEMG, 脳内血流を近赤外分光装置で同時記録後, 咬筋筋活動と脳内血流の変化を検索できるようにプログラムを作成した。なお, 脳内血流の測定プローブは, 照射部と受光部の距離を4cmとし, 運動野相当部の皮膚上に毛髪をかき分けて, 開閉口運動と指の運動とに最も反応する位置に設定した。実験終了後, プ...

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Published in日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 11; no. 1; pp. 7 - 13
Main Authors 志賀, 博, 横山, 正起, 荒川, 一郎, 小林, 義典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎口腔機能学会 30.11.2004
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ISSN1340-9085
1883-986X
DOI10.7144/sgf.11.7

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Summary:目的: 咀嚼運動や他の身体運動がそれぞれ脳内血流に及ぼす影響を明らかにする目的で, 近赤外分光装置 (NIRO300) による脳内血流分析システムを開発した。 方法: 健常男性3名 (26歳, 32歳, 36歳) に咀嚼運動, 指タッピング運動, 動的掌握運動をそれぞれ30秒間行わせた時の咬筋筋活動をEMG, 脳内血流を近赤外分光装置で同時記録後, 咬筋筋活動と脳内血流の変化を検索できるようにプログラムを作成した。なお, 脳内血流の測定プローブは, 照射部と受光部の距離を4cmとし, 運動野相当部の皮膚上に毛髪をかき分けて, 開閉口運動と指の運動とに最も反応する位置に設定した。実験終了後, プローブの設定位置を確認するため, 照射部と受光部の中間の位置の皮膚上にプラスチックカプセルを置き, MRIの撮影を行った。 結果: MRI画像から, 照射部と受光部の中間の位置が運動野相当部の皮膚上に設定されていることが確認できた。いずれの被験者においても咬筋筋活動と脳内血流の変化を経時的に記録, 観察することができた。脳内血流は, いずれの運動時でも増加したが, その増加量は, 咀嚼運動が最も大きく, 以下指タッピング運動, 動的掌握運動の順に小さくなる傾向を示した。また, この脳内血流の増加を定量的に表示することができた。 結論: 本研究で開発した脳内血流分析システムは, 咀嚼運動や他の身体運動における脳内血流の変化を視覚的, 定量的に評価できることが示唆された。
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.11.7