胆管癌の上皮内進展部における細胞増殖能, 細胞活性およびp53遺伝子産物の解析

はじめに: 胆管癌では高頻度に上皮内進展を伴うことが知られているが, その生物学的特徴は明らかにされていない. 我々は, 上皮内進展部 (intraepithelial spread portion: IESP) と浸潤部 (invasive portion: IP) の差異を明らかにする目的でMIB-1 positive rate(MIB-1 PR), AgNOR dot数 (AgNOR数) およびp53 positive rate (p53 PR) について解析した. 方法: 対象は胆管癌切除例20例で, MIB-1 PR, AgNOR数をそれぞれ算出した. p53 PRは4段階に分類し評...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 1 - 10
Main Authors 菅井, 有, 佐々木, 亮孝, 上杉, 憲幸, 須藤, 隆之, 中村, 眞一, 斎藤, 和好, 吉田, 徹, 舩渡, 治, 新田, 浩幸, 川村, 英伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2003
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.36.1

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Summary:はじめに: 胆管癌では高頻度に上皮内進展を伴うことが知られているが, その生物学的特徴は明らかにされていない. 我々は, 上皮内進展部 (intraepithelial spread portion: IESP) と浸潤部 (invasive portion: IP) の差異を明らかにする目的でMIB-1 positive rate(MIB-1 PR), AgNOR dot数 (AgNOR数) およびp53 positive rate (p53 PR) について解析した. 方法: 対象は胆管癌切除例20例で, MIB-1 PR, AgNOR数をそれぞれ算出した. p53 PRは4段階に分類し評価した (PR<5%:-; 5≦PR<25: +; 25≦PR<50: 2+; PR≧50: 3+). 結果: MIB-1 PRはIESP: 21.5%, IP: 20.2%で両群間に有意差はみられなかった. AgNOR数はIESP: 2.2, IP: 3.3 で浸潤部で有意に高かった (p=0.0012). p53陽性例はIESP: 8/20例 (40%), IP: 13/20例 (65%)であった. p53陽性の癌の多くは上皮内進展部でも過剰発現していた. 考察: 上皮内進展部の増殖能は浸潤部のそれと差がないことが明らかになった. 細胞活性は上皮内進展部では低いことが推測された. p53過剰発現は両者で関与していることが示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.36.1