理学療法学科学生のこころの知能指数の経過 入学から卒業まで

【はじめに】 1995年より全米各地の学校が「EQ(emotional intelligence)~こころの知能指数」を数学や国語と同じような必修科目として教える方向にある。また近年、企業も採用試験や職員教育にEQテストを取り入れるようになってきた。当校においてもH17年春より毎年一回(最終学年は長期臨床実習終了後も)理学療法学科全学生にEQテストを実施している。今回、入学から卒業まで通しての結果を報告する。 【研究手順・対象】 本研究は、内山らが開発した検査EQSを用い行った。対象は、当校に在籍している、全理学療法学科学生に行った。なお、H17・18・19・20年春に当校当学科在籍学生127...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 196
Main Authors 崎田, 正博, 松崎, 哲治, 木村, 孝, 河元, 岩男, 明日, 徹, 松木, 直人, 松岡, 美紀, 山下, 慶三, 斉藤, 貴文, 牧井, 昭憲, 花田, 穂積, 田中, 裕二, 熊丸, 真理, 峰岡, 哲哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2008
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2008.0.196.0

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Summary:【はじめに】 1995年より全米各地の学校が「EQ(emotional intelligence)~こころの知能指数」を数学や国語と同じような必修科目として教える方向にある。また近年、企業も採用試験や職員教育にEQテストを取り入れるようになってきた。当校においてもH17年春より毎年一回(最終学年は長期臨床実習終了後も)理学療法学科全学生にEQテストを実施している。今回、入学から卒業まで通しての結果を報告する。 【研究手順・対象】 本研究は、内山らが開発した検査EQSを用い行った。対象は、当校に在籍している、全理学療法学科学生に行った。なお、H17・18・19・20年春に当校当学科在籍学生1275名に実施した。そして今回は、EQSの自己対応・他者対応・状況対応という3つの領域において、昼間課程・夜間課程に分類し等分散の検定後に母平均の差の検定を行った。さらに今回は、入学から卒業まで通して検査を行った32名の経過を追ったのでここで報告する。 【結果】 対象の当校に在籍している全理学療法学科学生1275名中、回答信頼性傾向(偏り)を判定する基準に引っかかった者及び統計学的手法により外れ値を示した者を除き1156名を分析の対象とした。この、1156名の対象者全体の平均値および標準偏差を求めると、自己対応51.04±10.05・対人対応51.94±9.63・状況対応42.99±10.69となった。その平均を、EQSマニュアルにある大学生226名の平均やその大学生226名内の専門・研究職を目指す大学生62名の平均より有意に高かった。そして、昼間課程・夜間課程に分類し等分散の検定後に母平均の差の検定を行うと、3領域中、自己対応の領域で有意差を示した(p=0.002)。また他者対応・状況対応においては有意な差は示さなかった。また、学年が増す毎に高くなる傾向があった。 【考察及びまとめ】 今回、当校理学療法学科全学生にEQテストを実施した。そして、昼間課程・夜間課程に分類し比較した。その結果、自己対応の領域で有意差を示した。これは夜間課程という社会人経験の多い郡に、「自己の心の働きについて知り、行動を支え、効果的に行動をとる能力」が身についていると思われる。また、「他者の感情に関する認知や共感をベースに、他者との人間関係を適切に維持することのできる能力」や「自己を取り巻く、あるいは自己と他者を含む集団を取り巻く状況の変化に耐える力、リーダーシップ、また自己対応領域と対人対応領域の各種能力や技量を状況に応じて適切に使い分ける統制力」には差はなく、専門学校に入学する学生にEQの差はなく高値を示すことが、他データからも伺えた。そして、学年が増す毎に高くなった。今後は、さらにデータを重ね、個人の経過や精神的健康(気分や感情)との関係、また外れ値を示した者の行動分析を行っていきたい。
Bibliography:196
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2008.0.196.0