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Le Fort I型骨切り術術後の上顎骨への血管構築について 下行口蓋動脈損傷時における実験的研究
「緒言」 顎矯正手術術式の中でもLe Fort I型骨切り術はその適用範囲が広いこと1-4)から, 近年よく用いられる術式である5-9). しかし, 本術式は骨切り後の上顎骨骨片への栄養血管である下行口蓋動脈が骨切り線上に存在し, 手術時に切断の危険性を伴うことからやや複雑な術式と考えられている. 事実, 術後の上顎骨骨片への血液供給不良の結果, 歯髄壊死10), 広範囲の粘膜および上顎骨の壊死の報告11-14)もあることから, 本術式施行時における下行口蓋動脈の保存が血液供給路を保持するために重要なことと考えられてきた11,15-17). しかし, 下行口蓋動脈からの血行が遮断されても本術式...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 3; no. 2; pp. 69 - 77 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
30.10.1993
日本顎変形症学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0916-7048 1884-5045 |
DOI | 10.5927/jjjd1991.3.69 |
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Summary: | 「緒言」 顎矯正手術術式の中でもLe Fort I型骨切り術はその適用範囲が広いこと1-4)から, 近年よく用いられる術式である5-9). しかし, 本術式は骨切り後の上顎骨骨片への栄養血管である下行口蓋動脈が骨切り線上に存在し, 手術時に切断の危険性を伴うことからやや複雑な術式と考えられている. 事実, 術後の上顎骨骨片への血液供給不良の結果, 歯髄壊死10), 広範囲の粘膜および上顎骨の壊死の報告11-14)もあることから, 本術式施行時における下行口蓋動脈の保存が血液供給路を保持するために重要なことと考えられてきた11,15-17). しかし, 下行口蓋動脈からの血行が遮断されても本術式が成り立つとの報告18-20)も多数認められ, Le Fort I型骨切り術において, 下行口蓋動脈が切断された場合における上顎骨骨片への血行動態については不明瞭な点が多い. そこで今回私たちは, ニホンザルを実験材料としてLe Fort I型骨切り術を行い, 片側の下行口蓋動脈を結紮切断し, 術後の下顎骨骨片への血行路, さらには粘膜骨膜切開創部における微小血管吻合の回復状態について経時的に観察した. 「実験方法と材料」 実験材料には, 雄性成ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)体重10kg前後を12頭用いた. 実験は, 静脈麻酔下に経口気管内挿管を行い, 自発呼吸下で施行した. 局所麻酔(2%リドカイン, 1/80000エピネフリン含有)を行った後, 歯肉頬移行部上で上顎結節部から対側まで骨膜に達する弧状冠状切開を加え, 犬歯を除く各歯の歯根尖から約5mm上方で上顎骨前壁および側壁に水平骨切りを行った. 上顎の可動性を確認後, 右側の下行口蓋動脈を結紮切断した. 止血確認後, 上顎骨を術前の位置に復位させ, ミニプレートにて固定した(Fig. 1). 最後に, 粘膜骨膜切開部を3-0絹糸にて縫合し, 術後感染予防のためにPenicillin G(100000単位/日)の筋肉内投与を3日間行った. |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd1991.3.69 |