当院リハビリテーション科を中心とした心肺蘇生教育とその効果について ICLSコースを持たない当院職員が他病院ICLSコースへ参加する取組み

【目的】本研究の目的は、心肺蘇生教育において,ICLSコースを持たない当院職員が他病院ICLSコースへ継続参加し,連携することによる効果とその意義について検討した.【対象】2006年1月から2010年3月までに当院から東京医療センターICLSコースを受講し,認定プロバイダーを取得した64名【方法】すべての対象者は,われわれがコース登録等の事務手続きを行い,心肺蘇生(BLSおよびICLS)教育を実施した後に東京医療センターICLSコースへ参加した.検討項目としては,志望動機,職種,経験年数,院内心肺蘇生の対応,心肺蘇生に対するコース参加状況について検討した.【結果】志望動機としては「心肺蘇生の対...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 p. 229
Main Authors 田中, 且子, 玉田, 良樹, 加藤, 太郎, 鈴木, 亮, 寄本, 恵輔, 菊野, 隆明, 大久保, 裕史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2010
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.29.0.229.0

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Summary:【目的】本研究の目的は、心肺蘇生教育において,ICLSコースを持たない当院職員が他病院ICLSコースへ継続参加し,連携することによる効果とその意義について検討した.【対象】2006年1月から2010年3月までに当院から東京医療センターICLSコースを受講し,認定プロバイダーを取得した64名【方法】すべての対象者は,われわれがコース登録等の事務手続きを行い,心肺蘇生(BLSおよびICLS)教育を実施した後に東京医療センターICLSコースへ参加した.検討項目としては,志望動機,職種,経験年数,院内心肺蘇生の対応,心肺蘇生に対するコース参加状況について検討した.【結果】志望動機としては「心肺蘇生の対応能力向上」「業務上必要」「資格取得目的」の順に多かった.職種は看護師42名,医師/研修医12名,理学療法士/作業療法士8名,その他2名であった.経験年数は,平均6.2±5.2(20-46歳)であり,心肺蘇生対応の対応については全ての対象者において自信を持って対応できるようになったとの回答が得られた.また,心肺蘇生に対しての関心は高く,継続して参加した64名中10名が日本救命医学会認定ICLSインストラクターを取得した.【考察】急性期理学療法において急変に遭遇する可能性は高いが,心肺蘇生など急変時対応になると苦手意識があるように思える.なぜならば,理学療法士教育課程において,実践的な心肺蘇生法のカリキュラムはなく,卒後においては個人の努力によって習得しなければならないからである.さらに当院のようなICLSコースを持たない急性期病院においては,ICLSコースを有する病院へ個人で受講することには少なからず抵抗があり,継続的なトレーニングを必要とする心肺蘇生教育と関わりを持つことは困難となる場合が多い.しかし,われわれが主導となりICLSコースを有する病院との連携を築いたことにより,組織的かつ継続的な心肺蘇生教育が構築された.そのため,院内では,多職種間での連携が深まり急変時においても組織的な対応が可能となった.また,病院内という枠に留まらず,院外との連携が深まり,われわれが実践している心肺蘇生教育システムは広がりをみせている.さらに継続的な心肺蘇生教育を実践していくことにより日本救急医学会認定インストラクターとして活躍している.このように発展的な心肺蘇生教育をしていくためには,ICLSコースを有する病院に信頼を得ていくことが重要であり,そのためにもわれわれの果たす役割は大きい.
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ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.29.0.229.0