脳血管障害の危険因子から検討する急性期脳血管障害の理学療法 既往症に糖尿病を持つ症例について
【目的】 脳血管障害を発症した際の治療は脳血管障害後遺症に終始するのではなく,脳血管障害における危険因子に対しても積極的に介入していくことが再発予防において重要となる.しかし,そのような視点で急性期より理学療法が介入することは少なく,また,脳血管障害における危険因子が脳血管障害発症後の機能・能力的予後に影響を与えていたかについては知られていない.本研究の目的は,急性期脳血管障害における理学療法を脳血管障害危険因子の視点で検証すること,また,既往症に糖尿病を持つ症例を通し,理学療法の介入やその有用性ついて検討することにある. 【対象と方法】 当院に入院し理学療法を実施した脳血管障害患者302...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 p. 39 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2008
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.27.0.39.0 |
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Summary: | 【目的】 脳血管障害を発症した際の治療は脳血管障害後遺症に終始するのではなく,脳血管障害における危険因子に対しても積極的に介入していくことが再発予防において重要となる.しかし,そのような視点で急性期より理学療法が介入することは少なく,また,脳血管障害における危険因子が脳血管障害発症後の機能・能力的予後に影響を与えていたかについては知られていない.本研究の目的は,急性期脳血管障害における理学療法を脳血管障害危険因子の視点で検証すること,また,既往症に糖尿病を持つ症例を通し,理学療法の介入やその有用性ついて検討することにある. 【対象と方法】 当院に入院し理学療法を実施した脳血管障害患者302例. 方法は,脳血管障害危険因子の併発率を算出し,また能力・機能予後を明らかにするためBarthel Index,Motor Age Testの推移,在院日数について統計学的解析を試みた.また,既往症として糖尿病を有する症例の入院時におけるBMI,三大合併症の併発率,血液検査,三大治療の実施率を調査し,経時的な血液検査の推移と再発率について検討した. 【結果】 結果,脳血管障害の既往症併発率は,高血圧57%,糖尿病 21.1%,高脂血症15.2%,心疾患:20.5%,脳血管障害再発:26.2%であった.糖尿病の有無で退院時の能力・機能予後は変わらず,在院日数においても有意な差は認めなかった.また,当院では肥満が多く,三大合併症は,網膜症,腎症,神経障害の順に多く認めた.入院時血液検査では,HbA1c,血糖値は高く,高脂血症は約30%に認めた.三大治療は,食事療法83%,薬物療法81%,運動療法82%に実施され,血液検査よりHbA1cは発症後1カ月,1年後に有意に改善,退院後のCVD再発率は9.3%であった. 【考察】 急性期脳血管障害患者における理学療法は発症早期から脳血管障害危険因子を把握し,再発予防を目的とした理学療法を効果的に実施していくことが長期予後をより良くする因子になるものと考えられた. |
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Bibliography: | 30 |
ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.27.0.39.0 |