症例 大動脈瘤に合併したlocal DICに対し抗線溶療法を行った2例 抗線溶療法の問題点

症例1:74歳,女性.解離性大動脈瘤(DeBakey IIIb)で通院中,歯肉出血のため入院した.DICスコ8点.トラネキサム酸(TA)1000mg/日の静注で出血は止まり,DICは軽快した.腎機能悪化をみたがTAを休薬すると回復した.TA750mg/日の内服でDIC,腎機能とも安定した.偽腔内の血栓は増大したが完全には血栓化せず.26カ月後破裂死た. 症例2:85歳,男性.腹部大動脈瘤にて通院中,皮下出血のため入院した.DICスコア11点.ヘパリン,ウリナスタチンにTA500mg/日の点滴を併用し,後日TA750mg/日内服のみとした.出血傾向とDICは軽快したが, 瘤内血栓は変化せず.15...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 31; no. 6; pp. 424 - 428
Main Authors 伏見, 悦子, 関口, 展代, 武田, 守彦, 高橋, 俊明, 林, 雅人, 渡辺, 一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.1999
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.31.6_424

Cover

More Information
Summary:症例1:74歳,女性.解離性大動脈瘤(DeBakey IIIb)で通院中,歯肉出血のため入院した.DICスコ8点.トラネキサム酸(TA)1000mg/日の静注で出血は止まり,DICは軽快した.腎機能悪化をみたがTAを休薬すると回復した.TA750mg/日の内服でDIC,腎機能とも安定した.偽腔内の血栓は増大したが完全には血栓化せず.26カ月後破裂死た. 症例2:85歳,男性.腹部大動脈瘤にて通院中,皮下出血のため入院した.DICスコア11点.ヘパリン,ウリナスタチンにTA500mg/日の点滴を併用し,後日TA750mg/日内服のみとした.出血傾向とDICは軽快したが, 瘤内血栓は変化せず.15カ月後破裂死した. 抗線溶療法は(解離性)大動脈瘤に合併するlocal DIC,出血傾向に有用である.だが,完全に血栓化できないほどの大きな解離,および真性動脈瘤では破裂の危険性は低下しない.また,腎不全などの虚血性合併症に注意が必要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.31.6_424