新キノロン系抗菌薬gatifloxacinの臨床第I相試験 I. 単回経口投与

健常成人男子を対象として, 新キノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) の臨床第I相試験を行い, 単回経口投与時の安全性および体内動態について検討した。試験ではまず, 本薬の空腹時投与を20mgから開始し, 50, 100, 200, 400および600mgと増量した。また, 食事またはprobenecidの併用による影響について, 同一の被験者においてGFLX200mgの単回経口投与で検討した。 被験者延べ40例によるいずれの投与量における自覚および他覚症状, 血圧, 脈拍数, 体温, 心電図, 血液学的検査, 血液生化学検査および尿検査において, GFLXの投与と関連のある異...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 47; no. Supplement2; pp. 175 - 207
Main Authors 草嶋, 久生, 大家, 毅, 内田, 広, 植松, 俊彦, 石田, 了三, 中島, 光好, 小菅, 和仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 27.09.1999
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_175

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Summary:健常成人男子を対象として, 新キノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) の臨床第I相試験を行い, 単回経口投与時の安全性および体内動態について検討した。試験ではまず, 本薬の空腹時投与を20mgから開始し, 50, 100, 200, 400および600mgと増量した。また, 食事またはprobenecidの併用による影響について, 同一の被験者においてGFLX200mgの単回経口投与で検討した。 被験者延べ40例によるいずれの投与量における自覚および他覚症状, 血圧, 脈拍数, 体温, 心電図, 血液学的検査, 血液生化学検査および尿検査において, GFLXの投与と関連のある異常所見は認められなかった。また, 400および600mgの投与における聴力検査, 眼科的検査, 平衡機能検査および尿中薬物結晶検査においても, GFLXの投与と関連のある異常所見は認められなかった。 GFLX 100, 200, 400および600mgの空腹時単回経口投与では, 最高血清中濃度到達時間 (Tmax) は1.41~2.28時間, 最高血清中濃度 (Cmax) はそれぞれ0.873, 1.71, 3.35, 5.41μg/mL, 無限時間までの血清中濃度-時間曲線下面積 (AUC0-∞) はそれぞれ7.00, 14.5, 32.4, 53.5μg・h/mLで投与量に比例して増加した。消失相における血中半減期 (T1/2β) は, 投与量によらず6.93~8.41時間であった。尿中には投与72時間後までに81.6~87.9%が未変化体として排泄され, 400mg投与後72時間までの糞中排泄率は5.7%であった。また, 血清たん白結合率は薬物の濃度によらずほぼ一定であり, その平均値は約20%であった。唾液中濃度は血清中濃度の約80%であった。食後投与では空腹時投与に比べ, AUCが12.7μg・h/mLとわずかに低下したが, Cmaxは1.65μg/mL, Tmaxは1.86時間, T1/2βは6.52時間であり, 食事の影響はなかった。Probenecid 1.5g (500mg×3) の同時投与では, AUC0-∞が20.6μg・h/mLへ, T1/2βが10.2時間へと, GFLXの単独投与時に比べそれぞれ増加または延長し, 見かけの全身クリアランスは235から164mL/minへ, 腎クリアランスは197から122mL/minへ, 排泄比 (固有腎クリアランス/クレアチニン・クリアランス) は2.28から1.35へとそれぞれ低下した。これらのことから, 本薬の腎排泄には尿細管分泌が関与することが示唆された。 以上, GFLXの投薬に起因すると考えられる重篤な副作用は認められず, 体内動態および各種細菌に対する抗菌力を考えると, 本薬は各種感染症に対する効果が期待された。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.47.Supplement2_175