腎摘後8年目に膵転移をきたした腎細胞癌の1例
腎細胞癌は肺・肝・骨髄などに比較的高頻度に血行性転移をきたすが,膵への転移は少ない.われわれは,腎摘後8年目に発症した膵転移の1例を経験したので報告する.症例は75歳,女性. 1990年12月,左腎細胞癌にて腎摘術を施行された. 1998年12月,腹部CT検査にて膵頭部に4×2cmの腫瘤を指摘され,精査加療目的にて入院となった. Magnetic resonance cholangiopancreatography (MRCP) 検査上,総胆管は腫瘤により圧排されており,主膵管は腫瘤存在部位に一致して断裂像を示した.血管造影では,膵頭部に腫瘍濃染像を示していた.血中膵ホルモンはsomatost...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 11; pp. 2799 - 2803 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.11.2001
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.62.2799 |
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Summary: | 腎細胞癌は肺・肝・骨髄などに比較的高頻度に血行性転移をきたすが,膵への転移は少ない.われわれは,腎摘後8年目に発症した膵転移の1例を経験したので報告する.症例は75歳,女性. 1990年12月,左腎細胞癌にて腎摘術を施行された. 1998年12月,腹部CT検査にて膵頭部に4×2cmの腫瘤を指摘され,精査加療目的にて入院となった. Magnetic resonance cholangiopancreatography (MRCP) 検査上,総胆管は腫瘤により圧排されており,主膵管は腫瘤存在部位に一致して断裂像を示した.血管造影では,膵頭部に腫瘍濃染像を示していた.血中膵ホルモンはsomatostatinを除き正常範囲内であり,転移性膵腫瘍の疑診下に1999年3月に開腹術を施行した.肉眼上,腹水や腹膜播種を認めなかったため,膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本の病理学検査上,既往の腎細胞癌(淡明細胞亜形)と同一であり腎細胞癌の膵転移と診断した.術後経過は概ね良好であり,再発徴候を認めず健在である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.62.2799 |