CA19-9産生巨大脾嚢胞の1例

脾嚢胞は画像診断の進歩に伴い,さほど稀な疾患ではなくなりつつある.今回われわれは5年間の経時的変化を追ったCAI9-9産生巨大脾嚢胞の1例を経験したので報告する. 症例は44歳,女性,左季肋部痛を主訴に来院した.初診時の腹部CT上で直径10cm大の脾嚢胞を認めた.嚢胞は年々増大したが手術を拒否していたため,そのまま経過観察していた.嚢胞容積はCT volumetoryにてほぼ直線的な増加を示し,5年後には嚢胞は最大径28cmと巨大なものになった.血清CEAは0.6ng/mlと正常であったがCA19-9は1,759U/mlと高値を示していた.持続的な腹痛も伴うようになったため脾摘出術施行となった...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 11; pp. 2797 - 2801
Main Authors 岡本, 講平, 千須和, 寿直, 土屋, 拓司, 石曽根, 聡, 清水, 文彰
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2797

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Summary:脾嚢胞は画像診断の進歩に伴い,さほど稀な疾患ではなくなりつつある.今回われわれは5年間の経時的変化を追ったCAI9-9産生巨大脾嚢胞の1例を経験したので報告する. 症例は44歳,女性,左季肋部痛を主訴に来院した.初診時の腹部CT上で直径10cm大の脾嚢胞を認めた.嚢胞は年々増大したが手術を拒否していたため,そのまま経過観察していた.嚢胞容積はCT volumetoryにてほぼ直線的な増加を示し,5年後には嚢胞は最大径28cmと巨大なものになった.血清CEAは0.6ng/mlと正常であったがCA19-9は1,759U/mlと高値を示していた.持続的な腹痛も伴うようになったため脾摘出術施行となった. 嚢胞内容液は約6,000ml,嚢胞内CEAは125.9ng/ml, CA19-9は1.7×105U/mlと高値を示した.組織学的には真性嚢胞と診断され,免疫染色ではCEA, CA19-9とも嚢胞内上皮に陽性所見を認めた.摘出後の血中CA19-9は正常に復した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2797