下肢副伏在静脈瘤の病態とレーザー治療への対応

副伏在静脈は決して稀ではない解剖学的変位であり,下肢静脈瘤術後の再発部位としても知られる.伏在大腿静脈接合部からの逆流が副伏在と大伏在静脈の双方に及ぶ場合が問題となり,治療により残存した逆流が再発の要因となり得る.再発を予防し残存を避けるためには十分な術前評価と,副伏在静脈瘤治療方針の検討が重要であると考える.最近5年間で下肢静脈瘤血管内焼灼術適応となった1219例の術前後の超音波検査結果を解析し,解剖学的特徴やレーザー治療での問題点を検討した.とくに副伏在静脈不全を認めた89例を対象に,焼灼範囲および追加治療の必要性を解析した.副伏在静脈瘤に下肢静脈瘤血管内焼灼術を行った47例,分岐部焼灼2...

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Published in静脈学 Vol. 36; no. 3; pp. 355 - 363
Main Authors 岩井 武尚, 向後 美沙, 小泉 伸也, 本間 香織, 縄田 寛, 久米 博子, 塩川 則子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 17.08.2025
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.24-15

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Summary:副伏在静脈は決して稀ではない解剖学的変位であり,下肢静脈瘤術後の再発部位としても知られる.伏在大腿静脈接合部からの逆流が副伏在と大伏在静脈の双方に及ぶ場合が問題となり,治療により残存した逆流が再発の要因となり得る.再発を予防し残存を避けるためには十分な術前評価と,副伏在静脈瘤治療方針の検討が重要であると考える.最近5年間で下肢静脈瘤血管内焼灼術適応となった1219例の術前後の超音波検査結果を解析し,解剖学的特徴やレーザー治療での問題点を検討した.とくに副伏在静脈不全を認めた89例を対象に,焼灼範囲および追加治療の必要性を解析した.副伏在静脈瘤に下肢静脈瘤血管内焼灼術を行った47例,分岐部焼灼29例,通常の焼灼に追加治療を行った13例の術後経過を比較した.副伏在静脈の焼灼が最も有効であり,分岐部焼灼の13.79%に術後1年での開存を認めたため,副伏在静脈を焼灼できない場合には追加治療を積極的に検討すべきである.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.24-15