渇き関連中枢脳弓下器官ニューロンへのアセチルコリンの作用

脳弓下器官は体液調節や循環系調節に関与している. 最近この部位から唾液核への神経投射が報告され, 唾液分泌への関与も示唆されている. 我々は, ラット脳弓下器官への抑制性神経伝達物質は主にGABGであり, その入力はシナプス前膜のムスカリン受容体を介して修飾されることを最近明らかにした. 今回, ラット脳弓下器官スライス標本を用いブラインドパッチクランプ法により, アセチルコリン受容体の二種類のアゴニストであるムスカリンとニコチンのシナプス後膜に対する応答を膜電流およぴ膜電位固定法により記録した. ムスカリンとニコチンの添加により脳弓下器官ニューロンは脱分極し(ムスカリン14/27例, ニコチ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 466
Main Authors 稲永清敏, 本田栄子, 小野堅太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:脳弓下器官は体液調節や循環系調節に関与している. 最近この部位から唾液核への神経投射が報告され, 唾液分泌への関与も示唆されている. 我々は, ラット脳弓下器官への抑制性神経伝達物質は主にGABGであり, その入力はシナプス前膜のムスカリン受容体を介して修飾されることを最近明らかにした. 今回, ラット脳弓下器官スライス標本を用いブラインドパッチクランプ法により, アセチルコリン受容体の二種類のアゴニストであるムスカリンとニコチンのシナプス後膜に対する応答を膜電流およぴ膜電位固定法により記録した. ムスカリンとニコチンの添加により脳弓下器官ニューロンは脱分極し(ムスカリン14/27例, ニコチン20/27例), そのうちムスカリンは10例, ニコチンは6例で活動電位を発生した. またこれらの添加により内向き電流が観察され, いずれも逆転電位が-20mV付近であり, 非選択性陽イオンチャネルの関与が示唆された. 従ってアセチルコリンはこれらの受容体に結合し直接脳弓下器官ニューロンの興奮性を調節していることが考えられる.
ISSN:0385-0137