Porphyromonas gingivalisの外膜の分離方法の検討
【目的】Porphyromonas gingivalisは成人性歯周炎の原因菌であると考えられている. 表層に位置する外膜の分析は本菌の生理機能ならびに病原性の解明に重要である. 今回, 外膜の分離方法の検討を行い, 興味ある知見を得たので報告する, 【方法】P. gingivalisATCC33277株を嫌気培養後, 集菌した菌体をフレンチプレスにより破砕した. 未破砕菌体を除去し, その後超遠心処理により得られた沈演をエンベロープとした. エンベロープからの外膜の分離にはショ糖密度勾配遠心法および界面活性剤による方法を用いた. 分離した外膜におけるタンパク質とLPSとを分析した. 【結果】...
Saved in:
Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 424 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0137 |
Cover
Summary: | 【目的】Porphyromonas gingivalisは成人性歯周炎の原因菌であると考えられている. 表層に位置する外膜の分析は本菌の生理機能ならびに病原性の解明に重要である. 今回, 外膜の分離方法の検討を行い, 興味ある知見を得たので報告する, 【方法】P. gingivalisATCC33277株を嫌気培養後, 集菌した菌体をフレンチプレスにより破砕した. 未破砕菌体を除去し, その後超遠心処理により得られた沈演をエンベロープとした. エンベロープからの外膜の分離にはショ糖密度勾配遠心法および界面活性剤による方法を用いた. 分離した外膜におけるタンパク質とLPSとを分析した. 【結果】ショ糖密度勾配遠心法により分離した外膜には, 数種類からなる主要外膜タンパク質およびLPSが確認されたが, 内膜の指標とされる酵素の混在は認められなかったため, 純度の高い外膜が分離されたことが示唆された. 界面活性剤による方法で分離した外膜であっても主要外膜タンパク質に大きな違いはみられず, 簡単に外膜の調製を行うには適している方法であると思われた. 主要外膜タンパク質は主として分子量40kDaから50kDaの範囲にあった. また, 主要外膜タンパク質のSDS-PAGEによる泳動像は外膜を可溶化する際の温度で異なった. 【総括】P. gingivalis菌体から外膜を分離する二種類の方法を検討し, いずれにおいてもほぼ同様の外膜が分離できることが明らかになった. 現在, 主要外膜タンパク質の同定を試みている. |
---|---|
ISSN: | 0385-0137 |