東三河地区における巡回腹部超音波検診について 一年を経過した実績と今後の課題

<緒言>  近年、死亡原因のトップは悪性新生物であり、早期発見のためには今後もより精度の高いがん検診が求められている。そのような中、当センターでは平成17年度より腹部超音波の巡回検診を実施してきたので報告する。 <対象と目的>  対象は東三河地区の農協職員と組合員で、この一年間の実績および今後の課題について検討した。<方法>超音波診断装置は、(株)フクダ電子製UF_-_750XT(ポータブル式)を用いた。当センターの集団人間ドックを受けられた方の中からドック当日に超音波検査の希望者を募り、少なくとも胃透視検査日から中5日以上を空けて実施した。スタッフは1名で...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 317
Main Authors 渋谷, 明, 近藤, 一男, 白井, 徹, 山田, 晴生, 古田, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.317.0

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Summary:<緒言>  近年、死亡原因のトップは悪性新生物であり、早期発見のためには今後もより精度の高いがん検診が求められている。そのような中、当センターでは平成17年度より腹部超音波の巡回検診を実施してきたので報告する。 <対象と目的>  対象は東三河地区の農協職員と組合員で、この一年間の実績および今後の課題について検討した。<方法>超音波診断装置は、(株)フクダ電子製UF_-_750XT(ポータブル式)を用いた。当センターの集団人間ドックを受けられた方の中からドック当日に超音波検査の希望者を募り、少なくとも胃透視検査日から中5日以上を空けて実施した。スタッフは1名で原則として前回と同じ農協の会場にて、超音波装置、プリンター、ベッド、つい立などの必要資材をワゴン車にて搬入し設置した。  午前、午後それぞれ20名を限度とし、午前の部は9時、午後は13時開始とした。  食事制限は、午前の部は朝食を抜き、午後の部は昼食を制限した。  検査領域は消化器、泌尿器、婦人科、男性生殖器の範囲を検査した。さらに膀胱およびその周辺臓器を見るため、当日会場に来ていただく時には、適当量の尿を溜めて来てもらった。検査時間は一人当たり10分程度とし、画像データは記録紙とMO両方に保存した。結果報告は前回の集団人間ドックの結果と比較し読影後、受検者の各家庭へ郵送した。 <結果>  (1)  平成17年度総受検者数は1,455名で男性522名、女性933名であった。年代別では男女ともに50代が最も多く60代・40代の順であった。  (2)  総受検者数の判定区分はC判定(経過観察)が最も多く、次いでA(異常)・B(わずかな異常)・D(要精密検査)・F(現在治療中)・E(要治療)の順であった。男女別では、男性はC・B・A・D・F・Eの順であるのに対し女性はAとBに逆転がみられた。  (3)  主な疾患の内訳としては脂肪肝445件(30.6%)、胆嚢ポリープ124件(8.5%)、胆石52件(3.6%)、子宮筋腫91件(6.3%)、胆嚢腫瘍3件(0.2%)、腎臓がん2件(0.1%)、子宮腫瘍2件(0.1%)であった。 <考察>  (1)  従来からの集団人間ドックに腹部超音波検査を付加することで、より低侵襲で検査内容の充実を図ることができると思われる。  (2)  受検者がエコーを受けてみようと思った理由に1.近場に来てくれるから 2.広い範囲を検査してくれるから等の声が各会場で多く聞かれ、巡回で検査することのメリットは、ある程度満たしていると考える。  (3)  施設内の腹部超音波との比較では、主な疾患における発見率はほぼ同等であったが胆嚢ポリープのみ巡回8.5%、施設内17.6%と約2倍の差が見られたが、これに関しては、現時点ではっきりとした原因は分からない。  <今後の課題>  個人情報保護の面から、受検者との会話内容が他人に聞こえることなどを予防するため、会場の外の廊下などで待って頂いているのが現状である。特に真夏や真冬には厳しいものがあり快適な会場の環境確保のためにも巡回検診専用の検診車が必要であると考え現在検討中である。
Bibliography:2G105
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.317.0