行動制限に対する看護師の意識調査 統一した安全安楽な行動制限を目指して

【目的】看護師が正確に患者情報を捉え、統一した行動制限を実践しているかを調査する。【研究方法】1)調査期間:2006年7月1日~12月10日 2)調査対象:当病棟看護師調査に同意の得られた看護師23名。調査方法:自記式質問紙法。質問項目は_丸1_対象属性2項目_丸2_質問項目は行動制限についての情報収集6項目・記録6項目・マニュアル6項目・安全具の使用方法5項目[5段階評定法 5:絶対にしている4:ほぼしている3:時々している2:あまりしていない1:全くしていない]、自由記載1項目にて構成。調査開始時に目的と倫理的配慮について文章で説明し調査を依頼した。統計処理はSPSS11.0にて行った。【...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 304
Main Authors 中野, みさと, 伊藤, 亜希, 長谷川, つかさ, 江本, はる美, 藤田, 牧子, 西島, 由佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.304.0

Cover

More Information
Summary:【目的】看護師が正確に患者情報を捉え、統一した行動制限を実践しているかを調査する。【研究方法】1)調査期間:2006年7月1日~12月10日 2)調査対象:当病棟看護師調査に同意の得られた看護師23名。調査方法:自記式質問紙法。質問項目は_丸1_対象属性2項目_丸2_質問項目は行動制限についての情報収集6項目・記録6項目・マニュアル6項目・安全具の使用方法5項目[5段階評定法 5:絶対にしている4:ほぼしている3:時々している2:あまりしていない1:全くしていない]、自由記載1項目にて構成。調査開始時に目的と倫理的配慮について文章で説明し調査を依頼した。統計処理はSPSS11.0にて行った。【結果および考察】有効回答率は91.1%。情報収集の項目では「スタッフ同士の情報交換」平均値3.81(SD1.03)、「患者の状況をみて情報収集」3.75(SD0.91)、「行動制限観察記録用紙情報」3.38(SD1.11)、「フローシート情報」3.33(SD1.19)、「カルテ情報」2.71(SD0.95)の順で、最低値は「カンファレンス情報」2.38(SD1.02)であった。記録の項目では、最高値が「行動制限観察記録用紙」平均値3.24(SD1.13)、「カンファレンス記録」3.05(SD1.19)、「行動制限開始時記録」3.00(SD1.00)、「医師カンファレンス記録」2.55(SD1.05) 「行動制限変更時記録」2.52(SD1.03)、「看護計画記録」1.86(SD0.79)で全体的に低値であった。これにより、記録の充実が図れていない為に患者情報をカルテやフロ-シートから得ず、スタッフ間での口頭情報が主となり、統一した看護実践につながっていない事が示唆された。マニュアルの項目に関しても、「目的理解」「基準理解」「開始手順理解」「危険アセスメント実施」の4項目の平均値が3.05~3.24と低値で、「チームカンファレンス実施」「医師カンファレンス実施」3.52~3.75と高値であった。このことから定期業務は実施できているが、院内マニュアルを熟知できていないまま看護実践を行っていることが理解できた。安全具の使用方法の項目は5項目とも、平均値3.80~4.19と高値を示し的確な看護実践ができていると考えられる。対象属性別にみると看護師経験年数では、「マニュアルの基準理解」(p<0.05)に有意差が見られた。有意差のあった項目の平均値は1~2年目、3~4年目、5~6年目が2.60~3.25と低値に対し、7年目以上は4.25で高値であった。有意差は認められなかったが「マニュアルの目的理解」においても7年目以上が4.00と他の経験年数より高値を示していた。以上から、経験を重ねた看護師は看護実践を行う為にマニュアルを熟知する必要性を理解していると考えられる。病棟での経験年数では、安全具の使用方法 (p<0.05)で有意差が見られた。1~2年目の平均値が他より低値であったのは、安全具の使用方法マニュアルがないこと、行動制限に対して経験が浅いことが関係していると考えられる。自由記載で‘行動制限を統一して行える方法が必要’‘行動制限内容が正確に伝わる方法が必要’‘カンファレンス回数を増し、情報を共有化し適切な行動制限の検討が必要’の意見があった。行動制限を統一して行うためにカンファレンス情報を共有し記録することが必要と理解している反面、実施に至らない現状であると考えられる。【結論】今回の調査により、マニュアルの周知徹底がされていないこと、情報を共有化する為の記録が徹底されていないことが明確となった。これは患者情報を得る手段がなく、統一した看護実践が出来ていないことを示唆する。今後、記録の重要性を再認識しマニュアルの徹底を図り、統一した看護実践を目指し改善策を検討していきたい。
Bibliography:2F203
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.304.0