当院における上部消化管検診の現状 胃内視鏡検診の位置づけについて

今回我々は人間ドックなどの任意型健診における胃内視 鏡検診の現状を明らかにするため,当院で実施されている 半日人間ドック受診者における胃内視鏡検診の現状を分析した。 〈対象〉平成17年度から平成20年度までの4年間に当院の 半日人間ドック受診者27,079名を対象とした。上部消化管 造影検査(UGI)の結果要精密検査と判定された受診者の うち上部消化管内視鏡検査(GIS)を施行された受診者を UGI-GIS 群とし,UGI を受けずに直接GIS を施行された 受診者をD-GIS 群として,この各群間における悪性腫瘍 の発見率を比較すると共に,各群の受診者数の増減につい て最近の動向の分析を試み...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 139
Main Authors 長井, 優, 荒川, 直之, 青木, 孝太, 安藤, 正司, 吉村, 恵介, 水谷, 弘二, 阿知波, 宏一, 奥村, 明彦, 渡辺, 一正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.139.0

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Summary:今回我々は人間ドックなどの任意型健診における胃内視 鏡検診の現状を明らかにするため,当院で実施されている 半日人間ドック受診者における胃内視鏡検診の現状を分析した。 〈対象〉平成17年度から平成20年度までの4年間に当院の 半日人間ドック受診者27,079名を対象とした。上部消化管 造影検査(UGI)の結果要精密検査と判定された受診者の うち上部消化管内視鏡検査(GIS)を施行された受診者を UGI-GIS 群とし,UGI を受けずに直接GIS を施行された 受診者をD-GIS 群として,この各群間における悪性腫瘍 の発見率を比較すると共に,各群の受診者数の増減につい て最近の動向の分析を試みた。 〈結果〉当院の半日人間ドック受診者数は平均6,770人/ 年であった。UGI もしくはGIS による上部消化管検査を 受けた受診者のうちD-GIS 群は10.7%~13.1%(平均 11.7%)を占めた。年次変化をみると,過去4年間におい てD-GIS 群の割合が徐々に増加していた。UGI の結果, 要精検群と判定された受診者は22.2%~34.0%(平均 27.8%)であったが,精密検査受診率は30.7%~47.0% (平均38.9%)にとどまっていた。悪性腫瘍の発見率につ いてはD-GIS 群では0.44%~1.36%(平均0.81%),UGI -GIS 群では0.29%~1.24%(平均0.72%)であり,過去 4年間における悪性腫瘍発見率においてはD-GIS 群と UGI-GIS 群の間に有意差はみられなかった。D-GIS 群に おいて過去の半日ドック受診回数をみると,4回以上受診 した人の割合が約40%を占め,そのうちの8割以上の人が 過去にGIS を経験していた。 〈結論〉我々の施設ではUGI の結果要精検と判定される 割合(要精検率)が全国平均に比べて高いこと,精密検査 受検率が全国平均に比べて低いことが問題点として明らか となった。また,胃内視鏡検診実施の割合が増加しつつあ るとはいえドック受診者の1割程度にとどまっている。胃 内視鏡検診の実施率の上昇は検診の過程でのドロップアウ トを少なくすると考えられ,悪性腫瘍の拾い上げに貢献す る可能性があると考えられた。
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ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.139.0