頭部課題運動の質的評価法

【目的】昨年演者らは, 小型加速度センサーを利用した頭部運動の測定システムによって, 頭部運動の「量的側面」を中心とした解析結果について報告した. 今回は, 同運動の「滑らかさ」など「質的側面」の評価法を検討したので, その知見を報告する. 【方法】被験者は, 健常成人14名であった. 前報と同様に, 頭部と体幹の傾斜角度を前後, 左右の2軸で計測した. 被験者には安静な座位をとらせ, 頭部の「左回転」と「右回転」を行なわせた. 注視点の注視(約5秒間)後, 両課題を連続して15秒間行なわせた. 特別な体幹の固定装置を使用せず, 無拘束とした. 【結果と考察】1. 再現性-各被験者の「前方(左...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 455
Main Authors 宮岡里美, 平野秀利, 宮岡洋三, 山田好秋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】昨年演者らは, 小型加速度センサーを利用した頭部運動の測定システムによって, 頭部運動の「量的側面」を中心とした解析結果について報告した. 今回は, 同運動の「滑らかさ」など「質的側面」の評価法を検討したので, その知見を報告する. 【方法】被験者は, 健常成人14名であった. 前報と同様に, 頭部と体幹の傾斜角度を前後, 左右の2軸で計測した. 被験者には安静な座位をとらせ, 頭部の「左回転」と「右回転」を行なわせた. 注視点の注視(約5秒間)後, 両課題を連続して15秒間行なわせた. 特別な体幹の固定装置を使用せず, 無拘束とした. 【結果と考察】1. 再現性-各被験者の「前方(左方)」, 「後方(右方)」への最大傾斜角度を1周期毎に計測した. いずれの回転課題においても, 「前方」がその他3領域と比較し, 標準偏差の範囲(ばらつきの“個体差”)が有意に大きく, 「前方」での傾斜角度の標準偏差を回転運動の再現性を評価する一指標とできた. 2. 円滑性-1)所要時間:頭部の「前方(左方)」と「後方(右方)」を通過する所要時間から, 各被験者の「前後(左右)比」を算出した. 「左右比」に比べ「前後比」に各人の特徴が表れており, 所要時間の「前後比」を回転運動の円滑性を評価する一指標とできた. 2)一次微分:回転運動の原波形を時間で一次微分し, 原波形と微分波形との比較から, 一次微分曲線は回転運動の「滑らかさ」を表す一指標とできた.
ISSN:0385-0137