マウス顎下腺の形態形成とソニックヘッジホッグ(Shh)の発現
【目的】唾液腺の形態形成は上皮芽の間葉への陥入に始まり, 増殖成長による上皮索(EC)の形成, ECの分枝成長, EC最先端部からの終末球(TB)の出現と続き, TB中心に腺腔が開き完成する. 顎下腺原基の器官培養による研究で, 上皮間葉相互の調節機構が解明されつつあるがin vivoでの形態形成の詳細な過程については不明な点が多い. 本研究ではマウス顎下腺の器官形成の機序とその調節機構の解明を目的に, TB出現前から腺房が形作られるまでの過程を微細構造学的に検索した. 【方法】ICRマウスの胎生13日(E13)からE17までの顎下腺について光顕と電顕観察, BrdU標識での細胞増殖パターンの...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 392 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】唾液腺の形態形成は上皮芽の間葉への陥入に始まり, 増殖成長による上皮索(EC)の形成, ECの分枝成長, EC最先端部からの終末球(TB)の出現と続き, TB中心に腺腔が開き完成する. 顎下腺原基の器官培養による研究で, 上皮間葉相互の調節機構が解明されつつあるがin vivoでの形態形成の詳細な過程については不明な点が多い. 本研究ではマウス顎下腺の器官形成の機序とその調節機構の解明を目的に, TB出現前から腺房が形作られるまでの過程を微細構造学的に検索した. 【方法】ICRマウスの胎生13日(E13)からE17までの顎下腺について光顕と電顕観察, BrdU標識での細胞増殖パターンの検索を行った. さらにその調節系を探るためShhタンパクの免疫染色を行った. 【結果】EC上皮塊からE14以降分枝が始まりTBが形成された. BrdUを取り込んだS期と有糸分裂像のM期細胞はともに間葉に面する基底部ではなくTBの中心部位にみられE15では将来の腺腔が開く部位で顕著だった. 電顕観察ではE14のTBは均一な細胞で構成されていたが, E15のTBの中心に電子密度の高い細胞が出現し, これらの細胞が腺腔を形成する形で配列していた. Shh免疫染色の結果は導管を除くTBにShhが発現することを示した. 【結論】TBから腺房へ分化する過程で細胞増殖はTBの中心で起こりさらにこの部位から腺細胞への分化が起こることが示唆された. この増殖または分化, あるいは双方にShhシグナリングが関与していることが推察された. |
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ISSN: | 0385-0137 |