咀嚼筋運動ニューロンに入力するニューロンと, そのシナプス接合様態

【目的, 方法】咀嚼筋を支配する三叉神経運動ニューロンにシナプス接合を成すニューロンには, 筋紡錘や歯根膜の感覚を伝え, 一次ニューロンである三叉神経中脳路核(Vmes)ニューロンの他, 口腔感覚を主に伝え, 二次ニューロンである三叉神経吻側核(Vo. r)ニューロン, ならびに主感覚核(Vp)ニューロンが存在する. これらのニューロンから運動ニューロンヘの情報伝達の様式の差異を明らかにするため, 神経細胞内記録, 標識法をネコに施した. 【結果】単一ニューロンが閉口筋運動ニューロン群の存在する運動核背外側亜核(Vmo. dl)内に出す軸索膨瘤(bouton)数は, Vo. rニューロンが最多...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 475
Main Authors 吉田篤, 深見秀之, 永瀬佳孝, 廣瀬陽介, 本間志保, 重永凱男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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Summary:【目的, 方法】咀嚼筋を支配する三叉神経運動ニューロンにシナプス接合を成すニューロンには, 筋紡錘や歯根膜の感覚を伝え, 一次ニューロンである三叉神経中脳路核(Vmes)ニューロンの他, 口腔感覚を主に伝え, 二次ニューロンである三叉神経吻側核(Vo. r)ニューロン, ならびに主感覚核(Vp)ニューロンが存在する. これらのニューロンから運動ニューロンヘの情報伝達の様式の差異を明らかにするため, 神経細胞内記録, 標識法をネコに施した. 【結果】単一ニューロンが閉口筋運動ニューロン群の存在する運動核背外側亜核(Vmo. dl)内に出す軸索膨瘤(bouton)数は, Vo. rニューロンが最多(平均4440個)で, 以下Vpニューロン(1220個), 筋紡錘Vmesニューロン(790個), 歯根膜Vmesニューロン(50個)であった. 単一ニューロンが単一閉口筋運動ニューロンと成す接合数は, 興奮性である筋紡錘VmesニューロンよりもVo. rニューロンの方が多かった(2.1個対5.0個). また接合部位はVo. rニューロンの方が, 運動ニューロンの細胞体または近位樹状突起に位置する割合が高かった. また, 運動ニューロンとシナプスを成すVo. rニューロンの軸索終末は, 多形性のシナプス小胞を含有した. 【結論, 考察】本研究より, Vo. rニューロンは閉口筋運動ニューロンに対し抑制的に働き, その作用は極めて重要で有ることが示峻された. 閉口時の口腔内組織の保護, 咀嚼リズムの形成に関与すると考えられる.
ISSN:0385-0137