Gli遺伝子欠損マウスの軟骨内骨化における形態学的解析
【目的】軟骨内骨化を担う骨原生細胞が軟骨原器の周囲組織に由来することと, 転写調節因子であるGli2, Gli3はその様な周囲組織に発現することから, Gli2/Gli3遺伝子欠損マウスに認められる軟骨内骨化の異常を組織学的に検索した. 【材料と方法】胎生18-19日のGli2/Gli3遺伝子欠損マウスにおいて, アルカリ性ホスファターゼ(ALP), CD31陽性血管内皮細胞の免疫局在, オステオポンチンとBMP-2のin situ hybridization, TRAP酵素組織化学, ならびにTUNEL法によるアポトーシスの検索を行った. 【結果と考察】Gli欠損マウスの脛骨において, 若干...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 402 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.2000
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Summary: | 【目的】軟骨内骨化を担う骨原生細胞が軟骨原器の周囲組織に由来することと, 転写調節因子であるGli2, Gli3はその様な周囲組織に発現することから, Gli2/Gli3遺伝子欠損マウスに認められる軟骨内骨化の異常を組織学的に検索した. 【材料と方法】胎生18-19日のGli2/Gli3遺伝子欠損マウスにおいて, アルカリ性ホスファターゼ(ALP), CD31陽性血管内皮細胞の免疫局在, オステオポンチンとBMP-2のin situ hybridization, TRAP酵素組織化学, ならびにTUNEL法によるアポトーシスの検索を行った. 【結果と考察】Gli欠損マウスの脛骨において, 若干数のALP陽性を示す骨芽細胞が発達の悪い一次骨梁に局在し, 弱いオステオポンチンの発現を示した. TRAP陽性破骨細胞は僅かで, 骨幹部では拡大した血管腔が占めていた. 一方, 軟骨原器周囲の多数の間葉系細胞が, 核濃縮を示しTUNEL陽性を示したことから, アポトーシスに陥っていることが強く示唆された. このような領域では, BMP-2の強い発現が検出されたことから, Gli遺伝子欠損マウスにおいて, 軟骨周囲組織の亢進したBMP-2発現がアポト-シスを誘導し, その結果, そこから分化する骨原生細胞の活性低下を誘導することが推測された. |
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ISSN: | 0385-0137 |