CD2刺激によるNK細胞活性化におけるlipid raftの役割

【目的】歯周炎などの炎症歯周組織には, リンパ球をはじめとする免疫担当細胞の浸潤が認められることにより, 局所的免疫反応が歯周疾患の発症と進展の要因の一つであると考えられる. NK細胞は活性化レセプターを介したシグナルにより細胞傷害活性を発揮する. 我々は, CD2架橋刺激によるNK細胞活性化におけるlipid raftの関与とraft結合アダプタータンパクLAT(linker for activation of T cell)を介したシグナル経路について検討した. 【方法および結果】1)NK3.3細胞にCD2架橋刺激を加え共焦点顕レーザー微鏡で観察したところ, CD2とraftの凝集が認めら...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 335
Main Authors 井上博, 合田征司, 池尾隆, 堂前尚親, 西川泰央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】歯周炎などの炎症歯周組織には, リンパ球をはじめとする免疫担当細胞の浸潤が認められることにより, 局所的免疫反応が歯周疾患の発症と進展の要因の一つであると考えられる. NK細胞は活性化レセプターを介したシグナルにより細胞傷害活性を発揮する. 我々は, CD2架橋刺激によるNK細胞活性化におけるlipid raftの関与とraft結合アダプタータンパクLAT(linker for activation of T cell)を介したシグナル経路について検討した. 【方法および結果】1)NK3.3細胞にCD2架橋刺激を加え共焦点顕レーザー微鏡で観察したところ, CD2とraftの凝集が認められ両者は完全に一致した. 2)細胞膜成分のsucrose gradientによる分画において, CD2とLATがraft分画に存在した. 3)CD2架橋刺激によりLATのチロシンリン酸化が濃度依存性, 時間依存性に誘導された. 4)CD2架橋刺激によりチロシンリン酸化LATとPI3-kinaseやPLC-γとの会合が確認された. 5)Methyl-β-cyclodextdnを用いたraftの破壊によりNK活性は著明に抑制された. 【考察】NK細胞の活性化には, lipid raftを介したNK活性化レセプターの凝集とLATのチロシンリン酸化およびPI3-kinaseやPLC-γとの結合が重要であると考えられる.
ISSN:0385-0137