総頸動脈径と大動脈瘤との関連性に関する検討
拡張性動脈硬化性疾患である大動脈瘤と頸動脈病変との関連性についての報告は少ない. 今回, 総頸動脈径と大動脈瘤との関連性を検討した. 対象は1999年7月1日から2000年6月30日までに頸部血管超音波検査を施行した40歳以上の大動脈瘤132症例 (大動脈瘤群), および2000年4月1日から6月30日までに頸部血管超音波検査を施行し, かつ大動脈瘤の診断を受けていない414例 (コントロール群) である. 頸部血管超音波検査で両側総頸動脈分岐部から1~2cm中枢側で総頸動脈内膜間径を測定した. 両群間で, 左右総頸動脈内膜間径, 年齢, 動脈硬化危険因子合併率を比較し, p<0.1の差...
Saved in:
Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 39; no. 5; pp. 533 - 536 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.09.2002
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.39.533 |
Cover
Loading…
Summary: | 拡張性動脈硬化性疾患である大動脈瘤と頸動脈病変との関連性についての報告は少ない. 今回, 総頸動脈径と大動脈瘤との関連性を検討した. 対象は1999年7月1日から2000年6月30日までに頸部血管超音波検査を施行した40歳以上の大動脈瘤132症例 (大動脈瘤群), および2000年4月1日から6月30日までに頸部血管超音波検査を施行し, かつ大動脈瘤の診断を受けていない414例 (コントロール群) である. 頸部血管超音波検査で両側総頸動脈分岐部から1~2cm中枢側で総頸動脈内膜間径を測定した. 両群間で, 左右総頸動脈内膜間径, 年齢, 動脈硬化危険因子合併率を比較し, p<0.1の差のあった項目を独立変数, 大動脈瘤の存在を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った. さらに大動脈瘤径と総頸動脈径の相関について調べた. 大動脈瘤群の総頸動脈径はコントロール群のそれより有意に大きかった (右:7.0±1.1mm vs 6.3±1.0mm, 左6.7±1.1mm vs. 6.1±1.0mm, 左右ともにp<0.001, unpaired t test). ロジスティック回帰分析では, 高血圧合併, 喫煙習慣, および総頸動脈径が大動脈瘤の存在の独立した関連因子であった (右: p<0.001, odds 比1.69, 左: p<0.001, odds比1.48). 胸部大動脈瘤径と左頸動脈径, 解離性大動脈瘤径と右頸動脈径の間にそれぞれ有意な相関を認めた (r=0.350, p<0.05; r=0.506, p<0.05). 大動脈瘤を有する症例では, 総頸動脈径が大きく, その径は胸部大動脈瘤や解離性大動脈瘤の手術時あるいは画像上の最大外径と相関する. |
---|---|
ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.39.533 |