脳梗塞における24時間連続記録心電図による不整脈の検討

不整脈と脳梗塞の関係を明らかにすることは, 不整脈の治療や脳梗塞の予防をしていくうえで重要なことである. そこで, 24時間連続記録心電図 (以下ホルター心電図) を用い, 脳梗塞と不整脈の関係を検討した. 症例は男80例, 女31例の計111例で平均年齢は65.4歳である. 頭部CT上の低吸収域の大きさから, 大脳皮質を含む大きな低吸収域を認める群 (皮質枝梗塞群: 以下L群), 基底核付近に小さな低吸収域を認める群 (穿通枝梗塞群: 以下S群), 低吸収域を認めない群 (以下N群) の3群に分類した. ホルター心電図は全例に発症後3週間以上を経過した慢性期に行い, そのうち14例は急性期に...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 26; no. 2; pp. 153 - 159
Main Author 明石, のぞみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.03.1989
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Summary:不整脈と脳梗塞の関係を明らかにすることは, 不整脈の治療や脳梗塞の予防をしていくうえで重要なことである. そこで, 24時間連続記録心電図 (以下ホルター心電図) を用い, 脳梗塞と不整脈の関係を検討した. 症例は男80例, 女31例の計111例で平均年齢は65.4歳である. 頭部CT上の低吸収域の大きさから, 大脳皮質を含む大きな低吸収域を認める群 (皮質枝梗塞群: 以下L群), 基底核付近に小さな低吸収域を認める群 (穿通枝梗塞群: 以下S群), 低吸収域を認めない群 (以下N群) の3群に分類した. ホルター心電図は全例に発症後3週間以上を経過した慢性期に行い, そのうち14例は急性期にも施行し, さらに3例は発症前の記録と比較した. ホルター心電図から基本調律を洞調律例と心房細動例に分け, 各々の症例について, 24時間あたりの心室期外収縮 (Ventricular Premature Contraction: 以下VPC) の総数を求めた. ホルター心電図施行の時期 (発症前, 急性期, 慢性期) によるVPC総数の変動は少なかった. また, VPC総数と年齢, 高血圧の既往の有無, およびCT上の梗塞部位との間にも関連はなかった. 心房細動例における24時間あたりのVPC総数とCT所見との間に関連はなかったが, 洞調律例ではS群, N群に比し, L群でVPC総数1,000以上の例が有意に高い出現頻度を示した. 一般に皮質枝梗塞では塞栓症が多いことから, 心房細動と同様にVPC総数も塞栓症の発症と関連を有することが示唆された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.26.153