アキレス腱断裂に対する超音波ガイドを用いた経皮的縫合術の治療成績

1992年8月以来, 110例の新鮮アキレス腱断裂患者に対して, 超音波ガイドを用いた経皮的縫合術を行った. 男性92人, 女性16人であり, 右側29例, 左側81例であった. 手術時の平均年齢は43.5歳であり, 受傷から手術までの期間は平均2.5日であった. 超音波断層装置は日立EUB-405,415,450を使用し, 7.5MHzリニア電子操作型探触子に水袋を装着して検査を行った. 術中のガイドとしてこれらを用いるとともに, 術前, 術後の評価にも超音波検査を行った. 術後の足関節可動域は, 患側と健側の間に有意の差を認めず, スポーツ活動への復帰に関しては, 67%が平均6.6ヵ月で...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 1020
Main Authors 冬賀秀一, 加藤文雄, 柴伸昌, 佐藤智久, 古澤達也, 原口直樹, 穐吉真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1999
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:1992年8月以来, 110例の新鮮アキレス腱断裂患者に対して, 超音波ガイドを用いた経皮的縫合術を行った. 男性92人, 女性16人であり, 右側29例, 左側81例であった. 手術時の平均年齢は43.5歳であり, 受傷から手術までの期間は平均2.5日であった. 超音波断層装置は日立EUB-405,415,450を使用し, 7.5MHzリニア電子操作型探触子に水袋を装着して検査を行った. 術中のガイドとしてこれらを用いるとともに, 術前, 術後の評価にも超音波検査を行った. 術後の足関節可動域は, 患側と健側の間に有意の差を認めず, スポーツ活動への復帰に関しては, 67%が平均6.6ヵ月で元のスポーツレベルに戻っていた. 合併症として, 再断裂, 縫合部の障害, 深部静脈血栓を各1例ずつ認めたが, 経皮的縫合術に多いとされている腓腹神経損傷の合併症は認められなかった. 術後の筋力を評価する目的で, 87人に対してCybex6000を用いて, 角速度毎秒30°および90°における等運動性筋力と, 足関節背屈15口, 中間位, 底屈15°, 30°における等尺性筋力を測定した. さらに, 観血的縫合例21人に対しても同様の検査を行い対照とした. 健側との比で求めた各数値データでは, 観血的縫合例との間に統計学的に有意の差は認められなかった. これらより, 経皮的縫合術に際して超音波ガイドを用いることで, 合併症を少なくさせることが可能となり, 観血的縫合術と同等の筋力を得られると考えられた.
ISSN:0034-351X