ラット切歯におけるCBFA-1の遺伝子発現

転写因子であるCore Binding Factor-1(CBFA-1)は顎顔面の骨や軟骨の形態形成を調節し, 軟骨細胞および骨芽細胞などに発現する. また, CBFA-1 mRNAはBMP-4によって誘導され, 骨芽細胞のmarker遺伝子であるOsterix mRNAの発現を促進することが報告されている. そこで, ラット切歯におけるBMP-4, CBFA-1およびOsterixの遺伝子の発現を検索した. (材料および方法)体重約40gのWistar系ラットを用いた. 4%paraformaldehyde溶液を用いて灌流固定を行い, 上顎切歯を取りだした. EDTAで脱灰後, パラフィン包...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 419
Main Authors 坂口豊, 蓼沼真樹子, 山本達也, 中田智子, 寺門正昭, 田中博, 桑田文幸, 下川仁彌太, 大井田新一郎, 稲毛稔彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:転写因子であるCore Binding Factor-1(CBFA-1)は顎顔面の骨や軟骨の形態形成を調節し, 軟骨細胞および骨芽細胞などに発現する. また, CBFA-1 mRNAはBMP-4によって誘導され, 骨芽細胞のmarker遺伝子であるOsterix mRNAの発現を促進することが報告されている. そこで, ラット切歯におけるBMP-4, CBFA-1およびOsterixの遺伝子の発現を検索した. (材料および方法)体重約40gのWistar系ラットを用いた. 4%paraformaldehyde溶液を用いて灌流固定を行い, 上顎切歯を取りだした. EDTAで脱灰後, パラフィン包埋を行い, 切歯が矢状断されるように切片を作製した. BMP-4(377bp), CBFA-1(290bp)およびOsterix(330bp)のcDNAを用いてin situ hybridationを行い遺伝子発現の局在を比較検討した. (結果と結論)BMP-4は成熟期ではruffle-ended ameloblast(RA)とsmooth-ended ameloblast(SA)との移行部のエナメル芽細胞および乳頭層に発現し, CBFA-1mRNAはおもにRAに見られた. また, Osterix mRNAは全ての時期の成熟期エナメル芽細胞に発現した. BMP-4, CBFA-1やOsterixは成熟期エナメル芽細胞に発現し, その形態変化や細胞外マトリックス合成を調節しているものと考えられた.
ISSN:0385-0137