フェレット舌乳頭の微細血管構築

舌は消化器系の入口に存在し, 食性や摂食状況によってその形態は異なる. 特に舌背に存在する舌乳頭において食性の相異が形態に反映する. 食肉目に属する動物の多くは葉状乳頭がない. 近年, 実験動物として注目される食肉目イタチ科フェレット舌背の舌乳頭について報告はないので, 上皮乳頭の形態と乳頭内の微細血管構築の比較観察を行った. 材料と方法:成フェレット4頭を用いた. 安楽死させたのち上行大動脈から生理食塩水にて脱血した後, アクリル樹脂を注入した舌を摘出し, 5%NaClOで軟組織を除去し, 乾燥した後, 金蒸着し, 走査電顕にて観察した. 観察結果:舌背に葉状乳頭は認めなかった. 糸状乳頭は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 323
Main Authors 上村守, 竹村明道, 戸田伊紀, 池宏海, 玉田善堂, 諏訪文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

More Information
Summary:舌は消化器系の入口に存在し, 食性や摂食状況によってその形態は異なる. 特に舌背に存在する舌乳頭において食性の相異が形態に反映する. 食肉目に属する動物の多くは葉状乳頭がない. 近年, 実験動物として注目される食肉目イタチ科フェレット舌背の舌乳頭について報告はないので, 上皮乳頭の形態と乳頭内の微細血管構築の比較観察を行った. 材料と方法:成フェレット4頭を用いた. 安楽死させたのち上行大動脈から生理食塩水にて脱血した後, アクリル樹脂を注入した舌を摘出し, 5%NaClOで軟組織を除去し, 乾燥した後, 金蒸着し, 走査電顕にて観察した. 観察結果:舌背に葉状乳頭は認めなかった. 糸状乳頭は, 舌体の舌背全体に密に存在し, その基本形態は円錐形で咽頭側に傾斜しており, 舌根に近づくほど大型であった. 本乳頭の微細血管構築では, ヘアピン型の毛細血管ループで, 十数個が環状に配列し, 最も咽頭側のものが最も長いループであった. 茸状乳頭の徼細血管構築では, 表面形態と同様に半球状の毛細血管網でループは観察されなかった. 有郭乳頭の微細血管構築では, 表面形態と同形で, 立体的な血管網から毛細血管が派出し, 表面全体を毛細血管ループが覆い, さらに本乳頭から乳頭溝に向かってヘアピン型のループが認められたが, 乳頭郭側にはループが認められなかった. 結論:糸状乳頭において表面形態とその乳頭内の微細血管構築の様相が最も異なっていた.
ISSN:0385-0137