BHT関連化合物の細胞毒性とアポトーシス誘導活性

【目的】2-tert-butyl-4-alkylphenol類は優れたラジカル捕捉性があり, 特にBHTは酸化防止剤として食品に広く用いられている. BHTは抗癌作用と共に発癌性も指摘されている. SODの抑制により, 抗癌剤に対する感受性が高まることが報告されている. そこでBHT誘導体の細胞毒性, DNA癌細胞の損傷, およびアポトーシス誘導の過程におけるSOD分子種のmRNA発現について検討した. 【方法】2, 4-di-tert-butylphenol(DBP), 2, 6-di-tert-butyl-4-methoxyphenol(BHT), 3-tert-butyl-4-hydro...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 498
Main Authors 斎藤昌利, 橋本研, 運天先和, 坂上宏, 藤沢盛一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】2-tert-butyl-4-alkylphenol類は優れたラジカル捕捉性があり, 特にBHTは酸化防止剤として食品に広く用いられている. BHTは抗癌作用と共に発癌性も指摘されている. SODの抑制により, 抗癌剤に対する感受性が高まることが報告されている. そこでBHT誘導体の細胞毒性, DNA癌細胞の損傷, およびアポトーシス誘導の過程におけるSOD分子種のmRNA発現について検討した. 【方法】2, 4-di-tert-butylphenol(DBP), 2, 6-di-tert-butyl-4-methoxyphenol(BHT), 3-tert-butyl-4-hydroxyanisole(BHA). ヒト培養細胞はHL-60(ヒト前骨髄性白血病細胞)を用いた. 生細胞数はトリパンブルー法, アポトーシス誘導に伴うDNAの断片化はアガロースゲル電気泳動法, Mn-SOD mRNAおよびCu/Zn-SOD mRNAの発現は, 特異的プライマーを用いたRT-PCR法により測定した. 【結果と考察】HL-60細胞の細胞毒性はDBP>BHT>BHAの順に減少した. 低濃度ではMn-SOD mRNAの一過的な上昇が観察され, 高濃度ではMn-SOD mRNA, Cu/Zn-SOD mRNAの発現がいずれも減少した. 以上の結果より, Mn-SOD mRNAの一過的上昇は, 細胞死からの回避のための細胞の応答と考えられる.
ISSN:0385-0137