味蕾におけるIGFファミリーの発現

【目的】PrKs(protein tyrosine kinases)はさまざまな組織の分化, 発育に働く. このうちIGF-1受容体は味蕾を含む上皮には含まない上皮より多く発現することが報告されているが, その局在は明らかでない. 本研究は味蕾におけるIGFファミリーの発現を調べた. 【方法】ラット, マウスの有郭乳頭, 茸状乳頭を免疫組織化学, RT-PCR, ノーザンブロットで調べた. 【結果と考察】IGFBP-1を除くIGF-1受容体, IGF-1, IGF-2, IGFBP-2, IGFBP-3, IGFBP-4, IGFBP-5, IGFBP-6のmRNAが剥離有郭乳頭上皮で発現した...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 349
Main Authors 鈴木裕子, 武田正子, 小原伸子, 坂倉康則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】PrKs(protein tyrosine kinases)はさまざまな組織の分化, 発育に働く. このうちIGF-1受容体は味蕾を含む上皮には含まない上皮より多く発現することが報告されているが, その局在は明らかでない. 本研究は味蕾におけるIGFファミリーの発現を調べた. 【方法】ラット, マウスの有郭乳頭, 茸状乳頭を免疫組織化学, RT-PCR, ノーザンブロットで調べた. 【結果と考察】IGFBP-1を除くIGF-1受容体, IGF-1, IGF-2, IGFBP-2, IGFBP-3, IGFBP-4, IGFBP-5, IGFBP-6のmRNAが剥離有郭乳頭上皮で発現した. これらの抗体を用いて一部はNCAM, ケラチン18との二重染色を行い共焦点レーザー顕微鏡で観察した. IGF-1, IGF-2, IGF-1受容体, IGFBP-2, およびIGFBP-5は味蕾に免疫陽性を示し, 基底細胞を除くほぼ総ての細胞が染まった. これらのIGFは味蕾細胞のI型, II型, III型細胞の分化に働くと推測される. また乳頭上皮では, IGF-1, IGF-2, IGF-1受容体は顆粒層に, IGFBP-2とIGFBP55は基底層に免疫陽性を示した. IGFBP-6は味蕾と固有層の神経線維に陽性を示し, 陽性線維は舌咽神経切断に従って消失し, 再生した. IGFBP-3とIGFBP-4は上皮と味蕾が区別なく弱く染まった. IGFBP-2と-5について味蕾を含む上皮と含まない上皮で発現量の比較を行うと, IGFBP-2のRNAは味蕾を含む上皮に多く発現していたが, IGFBP-5は両者で差がなかった.
ISSN:0385-0137