結腸神経細胞の活動に対する自律神経の影響

【目的】結腸壁内神経に対する外来性神経の支配様式を明らかにする目的で, 骨盤神経および交感神経刺激によってアウエルバッハ神経叢内に発現するc-fos蛋白陽性細胞の分布変化を検討した. 【方法】実験にはモルモットを用い, in vivoとin vitroの2種類の実験を行った. in vivoの実験ではケタラールによる麻酔下で, 骨盤神経を右後腹膜腔内で, 交感神経は腰部結腸神経, 下腹神経, 前骨盤神経節からの神経線維をdenervationした. in vitroの実験は両側骨盤神経を付着させた下部結腸を摘出し, 37℃に加温したクレブス液を灌流させたチャンバー内に固定し, 実験した. in...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 472
Main Authors 湯山徳行, 水野潤造, 高橋聡子, 小林裕, 田村謙二, 都築英子, 高橋理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】結腸壁内神経に対する外来性神経の支配様式を明らかにする目的で, 骨盤神経および交感神経刺激によってアウエルバッハ神経叢内に発現するc-fos蛋白陽性細胞の分布変化を検討した. 【方法】実験にはモルモットを用い, in vivoとin vitroの2種類の実験を行った. in vivoの実験ではケタラールによる麻酔下で, 骨盤神経を右後腹膜腔内で, 交感神経は腰部結腸神経, 下腹神経, 前骨盤神経節からの神経線維をdenervationした. in vitroの実験は両側骨盤神経を付着させた下部結腸を摘出し, 37℃に加温したクレブス液を灌流させたチャンバー内に固定し, 実験した. in vivo, in vitroともに刺激後3時間経過後, 4%パラホルムアルデヒドで固定し, 免疫組織学的手法を用いてアウエルバッハ神経叢内のc-fos蛋白陽性細胞の発現を検討した. 【結果と考察】In vivo, vitroの両実験でc-fos陽性細胞は全ての標本で観察できた. In vitroの実験で骨盤神経の刺激では, 対照群と比べて陽性細胞数が増加したものと, 減少したものがあった. ヘキサメソニウムやTTXの投与は口側の陽性細胞を減少させ, クロニジンでは有意に口側から肛門側まで減少した. In vivoの実験では, 骨盤神経のdenervationでは陽性細胞の分布に変化が見られないのに対して, 交感神経のdenervationでは有意に増加していた. このことから, 交感神経は持続的に結腸のアウエルバッハ神経細胞に抑制的に作用していることが示唆された.
ISSN:0385-0137