有郭乳頭の溝とエブネル腺導管管腔形成機構
舌有郭乳頭の溝と, 溝から続くエブネル腺導管管腔の形成過程のアポトーシスとケラチン蛋白について検索した. [方法]胎生18日から生後7日までのマウス有郭乳頭をTUNEL法と, 抗ケラチン抗体PKK3(45kD)反応を行った. [結果と考察]胎生18日の有郭乳頭は, 溝となる上皮索が結合組織中に進入し, さらにそこからエブネル腺となる上皮索が伸びていた. 生後0日以降, 乳頭上皮索の中央部に小さな空隙が出現し, 次第に数を増し, 縦に連なり癒合して表面に通じる溝を形成した. 腺の上皮索の中央部にも0日以降, 空隙が出現し, 次第に癒合し管腔を形成した. TUNEL陽性細胞は乳頭および腺の上皮索の...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 434 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 舌有郭乳頭の溝と, 溝から続くエブネル腺導管管腔の形成過程のアポトーシスとケラチン蛋白について検索した. [方法]胎生18日から生後7日までのマウス有郭乳頭をTUNEL法と, 抗ケラチン抗体PKK3(45kD)反応を行った. [結果と考察]胎生18日の有郭乳頭は, 溝となる上皮索が結合組織中に進入し, さらにそこからエブネル腺となる上皮索が伸びていた. 生後0日以降, 乳頭上皮索の中央部に小さな空隙が出現し, 次第に数を増し, 縦に連なり癒合して表面に通じる溝を形成した. 腺の上皮索の中央部にも0日以降, 空隙が出現し, 次第に癒合し管腔を形成した. TUNEL陽性細胞は乳頭および腺の上皮索の空隙周囲に数は少ないが出現した. 45kDのケラチンに対する抗体の反応では, 0日以降, 乳頭上皮索および腺上皮索中央部の空隙周囲を陽性細胞が囲み, 乳頭では空隙が表面に通じるようになると, 陽性細胞は7日までに消失したが, 腺では癒合した管腔周囲の一層の細胞がそのまま陽性であった. 以上より, 乳頭溝とエブネル腺導管形成過程において, 上皮索中央部の細胞が45kDのケラチンを持つようになり, さらに一部の細胞がアポトーシスを起こし, 空隙形成に関与するものと思われた. |
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ISSN: | 0385-0137 |