結核性胸膜炎を契機に診断しえた滑膜型結核性膝関節炎の1例

「要旨」 : 症例は74歳男性. 骨髄線維症に対しJAK阻害薬を, 特発性器質化肺炎に対しprednisoloneを内服していた. 37℃台の発熱および右膝関節痛のため, 近医整形外科を受診したが原因が判明せず対症療法となっていた. 4カ月後, 左胸水貯留による呼吸困難を認めたため, 精査目的に当科紹介入院となった. 胸水所見および採血で結核菌特異的インターフェロンγ遊離試験 (IGRA) が陽性であることから結核性胸膜炎を疑い局所麻酔下胸腔鏡検査による壁側胸膜生検を施行したが, リンパ球主体の炎症細胞浸潤を呈する非特異的な炎症所見しか得られず確定診断には至らなかった. 肺外結核の合併が考えら...

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Published in結核 Vol. 94; no. 6; pp. 395 - 400
Main Authors 小林智史, 黒沼幸治, 池田貴美之, 錦織博貴, 千葉弘文, 高橋弘毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.06.2019
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 症例は74歳男性. 骨髄線維症に対しJAK阻害薬を, 特発性器質化肺炎に対しprednisoloneを内服していた. 37℃台の発熱および右膝関節痛のため, 近医整形外科を受診したが原因が判明せず対症療法となっていた. 4カ月後, 左胸水貯留による呼吸困難を認めたため, 精査目的に当科紹介入院となった. 胸水所見および採血で結核菌特異的インターフェロンγ遊離試験 (IGRA) が陽性であることから結核性胸膜炎を疑い局所麻酔下胸腔鏡検査による壁側胸膜生検を施行したが, リンパ球主体の炎症細胞浸潤を呈する非特異的な炎症所見しか得られず確定診断には至らなかった. 肺外結核の合併が考えられたため, 膝関節滑膜生検を整形外科に依頼した. 病理所見で, リンパ球主体の炎症細胞浸潤を伴う乾酪壊死巣とラングハンス巨細胞を認め, 結核感染症に矛盾しなかった. 抗結核薬治療を開始したところ症状は著明に改善した. 最終的に胸水および壁側胸膜, 膝関節滑膜生検組織より結核菌が培養され確定診断に至った. 結核性膝関節炎に結核性胸膜炎を合併した稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:0022-9776